研究課題/領域番号 |
06045018
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 大学協力 |
研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
辻田 義治 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (70016591)
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研究分担者 |
吉水 広明 名古屋工業大学, 工学部, 助手 (10240350)
木下 隆利 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (60135407)
HIGGINS J.S. Imperial College. Dept. of Chemical Engine, 教授
BRISCOE B. Imperical College, Dept. of Chemical Engi, 教授
HIGGINS J S Imperical College, Dept. of Chemical Engi, 教授
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研究期間 (年度) |
1994 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
4,100千円 (直接経費: 4,100千円)
1996年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1995年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1994年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | ポリマーブレンド / ポリスチレン / ポリカーボネート系ブレンド / ポリメタクリル酸メチル / スチレン-アクリロニトリル共重合体系ブレンド / ポリイミド / ポリイミド系ブレンド / 相溶性 / 気体輸送特性 / 加成性 / 固体NMR法 / ポリメタクリル酸メチル(PMMA) / スチレン-アクリロニトリル共重合体(SAN) / 固体NMR / T_<1ρ>^H(緩和時間) / ^<13>C NMMR / 共重合体シーケンス / 光散乱 / ポリカーボネート / 非相溶 / 収着等温曲線 / 二元収着モデル |
研究概要 |
本研究では多成分多相系高分子複合系のモルホロジーと気体選択透過性の関係を明かにするため、以下の3つのポリマーブレンド系に対し種々の検討を行った。 1.ポリスチレン/ポリカーボネート系ブレンド 非相溶系ブレンドであるポリスチレン(PS)/ポリカーボネート(PC)系ブレンド膜を用いて二酸化炭素(CO_2)の収着測定を行った。PS/PC系ブレンド膜は1,4-ジオキサンを共通溶媒として混合し完全に溶解した後、100℃でキャストして得た。この系が相分離していること並びにPC成分の一部が結晶化することを示差走査熱量(DSC)測定及びX線回折法、固体NMR法より確認した。25℃におけるCO_2の収着測定を重量法により行ったところ、PS/PC系ブレンド膜の収着量は、二成分の単純な加成性が成り立つと仮定して計算される値よりも多かった。これは、PCの結晶成分にはCO_2が収着しないとすることで説明された。 2.ポリメタクリル酸メチル/スチレン-アクリロニトリル共重合体系ブレンド ポリメタクリル酸メチル(PMMA)は、PSやポリアクリロニトリル(PAN)とは相溶しないが、PSとPANの共重合体(SAN)とは限られた共重合体組成で相溶する。1,2-ジオキサンを共通溶媒として種々のAN含有量を有するSANとPMMAとを混合し、ガラス上にキャストして膜試料を得た。50:50ブレンドについてプロトンの回転座標系におけるスピン-格子緩和時間(T_<1ρ>^H)を測定したところ、AN含有量が17.9から39.5モル%のものではT_<1ρ>^Hのスケール(30〜70Å未満)において相溶していた。また、相溶している試料の加熱による相分離過程をT_<1ρ>^Hから評価し、光散乱の結果と同様なLCST型相図を得た。次にこの系の気体輸送特性について検討した。CO_2の収着及び透過測定を行った結果、他の一般的な相溶系ブレンド膜とは異なり、透過及び拡散係数は加成性から予想されるよりも大きな値をとった。しかし、密度と溶解度係数は加成性に従った。これらの挙動を理解するために、誘電分散測定を行い局所分子運動性について検討した結果、ブレンド試料中のPMMA側鎖はPMMAのみの場合と比べてその分子運動性が向上していた。従って、PMMA/SAN系ブレンドにおいて透過係数が加成性から予想よりも大きな値をとるのは、局所的な分子運動が活性化されてペネトラントの拡散性が向上するためである。なお、SANの溶液^<13>CNMRスペクトルを解析した結果、交互共重合性の高いことが判明し、二つのANに挟まれたスチレン連鎖が3から5個のときにのみPMMAと相溶することがわかり、相溶化の因子としてSANの組成に加えそのシーケンスの重要性が示唆された。 3.ポリイミド/ポリイミド系ブレンド 一般にポリイミド(PI)膜は優れた気体選択性を有する反面、気体透過性に劣る。PI膜の透過性のみを向上させるために、PI同士のブレンドを行った。本研究では成分1に一次構造上、棒状PIであるビフェニルテトラカルボン酸無水物(BPDA)p-フェニレンジアミン(PDA)を、成分2にはジアミン成分にエーテル結合を有し屈曲性PIであるBPDA/オキシジアニリン(ODA)又はピロメリット酸無水物(PMDA)/ODAをそれぞれ用いた。種々の組成、ブレンド温度、並びにイミド化温度でPI/PI系ブレンド膜を調製しその相溶性について、透過型電子顕微鏡観察や動的粘弾性測定などから検討を行ったところ、PI(BPDA/PDA)/PI(BPDA/ODA)系とPI(BPDA/PDA)/PI(PMDA/ODA)系は共にブレンド温度の上昇とともに相溶し、特に後者の系で変化が顕著であった。次にこれらの系の気体透過、収着測定を行い、相溶性が気体輸送特性に及ぼす効果について検討した。部分的に相分離状態の膜ではアニール処理により透過性が低下するのに対し、相溶状態の膜ではほとんど低下しなかった。これはアニール処理による体積緩和の進行が同種分子鎖間と異種分子鎖間では異なるためである。また、PI/PI系ブレンド膜の透過係数は一般の相溶系ブレンド膜とは異なり、加成性から予想されるよりも大きな値であった。以上の結果から、剛直で互いに分子骨格の異なるPI同士のブレンドは気体透過性を向上させる手段として有効であった。
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