研究課題/領域番号 |
06045023
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 大学協力 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
今井 光規 大阪大学, 言語文化部, 教授 (60034584)
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研究分担者 |
渡辺 秀樹 大阪大学, 言語文化部, 助教授 (30191787)
ZETTERSTEN A コペンハーゲン大学, 英語研究所, 教授
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
1995年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1994年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | ヘルシンキコーパス / コーパス言語学 / 初期近代英語 / 副詞用法不定詞 / 欽定訳聖書 / OED / 聖書 / ディンデイル / ティンデイル訳聖書 / フィロロジー / 欽定英訳聖書 |
研究概要 |
本研究は、コーパス言語学的方法によって、主にヘルシンキコーパスとティンデイル訳聖書を用いて初期近代英語散文の語彙と統語法・文体の分析を行うことを目的とする。以下、1.〜3.に平成6年度の成果、4.〜6.に平成7年度の成果の概略を記す (平成6年度) 1.チェタステーン:(1)ヘルシンキコーパス責任者リッサネンおよび英国バ-ミンガム大学シンクレア教授を訪問、通時的データとコビルドコーパス利用について討論。(2)来日し立教大学で北欧フィロロジーの伝統に関して多数の研究者と討論。阪大では語学研究へのマルチメディア活用法を実験しながら討論。 2.渡辺:英訳聖書の語彙研究の成果、(1)初期近代英語期の翻訳に頻出する同意語並列構文は、聖書翻訳では極めて少ないこと、(2)『欽定英訳聖書』中の表現'while the world standeth'は、ゲルマン語に共通の表現であることの2点を公表。英国リ-ズ大学バーバー博士を訪問、英語語彙の通時的問題(CD-ROM版OEDの活用法など)を討論。コペンハーゲン大学で、G.ロ-ゼ氏らとイェスペルセン著作の文献目録に関する共同作業を行う。 3.今井:(1)リ-ズ大学バーバー博士を訪問、英語の統計的研究の方法論について助言を得る。(2)コペンハーゲン大学で、チェタステーン教授他と散文の文体について討論。(3)文頭の副詞用法不定詞の談話文法的機能をエリザベス朝散文について、分詞の用法との比較で研究。 (平成7年度) 4.チェタステーン:(1)テクストに見られる発音の方言差を探る方法を研究。資料としてヘルシンキコーパスとEETSの諸テクスト他を使用。(2)平成7年8,9月に渡米、同様の目的で1600年代のNew Englandで書かれた散文資料を調査。(3)平成8年1月来日、阪大で語彙のコーパス言語学的諸問題を実際の作業と討論を通じて研究。コンピュータによる2か国語辞書編纂の研究には、ドイツ語教育講座の細谷行輝助教授の参加を求め、同氏開発の独和辞典編纂プログラムを検討しながら研究を進めた。 5.渡辺:(1)英国図書館所蔵の各種英訳聖書と中英語詩The Owl and the Nightingaleの写本を研究。前者に関する成果は論文の形で発表済み。後者の成果は、平成8年6月の中世英語英文学会西支部例会でのシンポジウムで発表予定。(2)デンマーク訪問中はZettersten教授と、コンピュータ利用の英語教育プログラムの開発について意見を交換するとともに、北欧における英語史研究の現状を討論。(3)CD-ROM版OEDを中心とした辞書学的研究の成果は、平成8年5月コペンハーゲン大学で開催の第7回国際辞書学会議で発表予定。 6.今井:(1)平成7年9月フィンランドで、トゥルク大学ヒルトゥーネン教授の他多くの研究者と統語法の統計的研究および英語史全般に関する諸問題について討論。(2)コペンハーゲン大学では、上記5(2)の議論に参加した。(3)文頭に用いられた副詞用法不定詞の談話文法的機能をヘルシンキコーパスについて調査する前年度の続きの研究を行った。この用法の不定詞の出現頻度が使用コーパスの研究対象の部分に小さいことが問題点として残ったが、Backlund(1989)を基準に判断すると、「仮想の読者との対話」によりテクストの有機的な構築を助けるというこの用法の不定詞は、ヘルシンキコーパスEMod部分においては、現代英語におけるほど明確には捉えられないことが判明した。 地震災害の復旧作業のため平成6年度末に研究を一時中断せざるを得なかったが、本計画の実行は以上の通り順調に所期の成果をあげている。デンマーク側・日本側とも、この意義深い大学間協力研究に意欲を燃やしており、同じ研究課題で内定していただいている8年度以降の研究を大いに期待している。なお、The Nordic Association for English Studiesの会長であるトゥルク大学リスト・ヒルトゥーネン教授との話し合いで、本共同研究を契機に、阪大と北欧諸国との間の研究協力をさらに推進すべく合意したことを付け加えておきたい。
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