研究分担者 |
GINDY N ノッチンガム大学, 工学部, 教授
WILSON J ノッチンガム大学, 工学部, 教授
O′BRIEN C ノッチンガム大学, 工学部, 教授
森川 克己 広島大学, 工学部, 助手 (10200396)
松原 行宏 広島大学, 工学部, 助手 (30219472)
村山 長 広島大学, 工学部, 助教授 (60219946)
橋本 雅文 広島大学, 工学部, 助教授 (10145815)
中村 信人 広島大学, 工学部, 教授 (70016575)
山根 八洲男 広島大学, 工学部, 教授 (70140564)
鳴瀧 則彦 広島大学, 工学部, 教授 (10026081)
WILSON John Faculty of Engineering, Nottingham University
O'BRIEN Christopher Faculty of Engineering, Nottingham University
O'BRIEN C ノッチンガム大学, 工学部, 教授
大場 史憲 広島大学, 工学部, 教授 (10081267)
HASLEGRAVE C ノッチンガム大学, 工学部, 講師
BONNEY M ノッチンガム大学, 工学部, 教授
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研究概要 |
本研究は、日本と英国双方の生産システム技術の統合化を図り、より先端的な生産システム技術の開発を目的としている。日本は生産技術の点で世界最高レベルにあることから、英国へ進出した日本企業の実態調査を行うことにより、最高レベルの技術の他国への浸透状況や浸透による効果あるいは問題点が明らかとなり,今後の先端技術の海外移転の指針となると思われる. 研究では広島大学工学部および英国ノッチンガム大学工学部の生産システム,ロボティックス,機械加工等の研究者が共同して, (1)日本から英国に進出した企業の日本での生産システム (2)日本から英国に進出した企業の英国内の工場での生産システム (3)英国で進展した伝統的な英国企業 (4)日本の企業で,英国企業から技術を導入し,英国企業と同じ物を生産している企業 について,日本,英国双方の研究者が合同して各企業を訪問し,聞き取り調査あるいはアンケート調査を行った. 以下本研究の概要及び本研究で得られた知見について示す. 1.平成6年度 平成6年度は日本から長町三生,大場史憲,橋本雅文,鳴瀧則彦,中村信人,松原行宏が英国ノッチンガム大学Wilson,J.教授と共にトヨタ英国工場(TUMK)と松下電器産業UKおよびロールスロイスの計3社を訪問し,生産システムの実態調査を行った. その結果,トヨタUKおよび松下電器産業UKは共に現在日本での先端的生産システムのレベルまでには至っておよず,その少し手前のシステムであり,生産管理や生産スケジューリングにはコンピュータが十分に活用されていたが,コンピュータによる統合生産システム(CIM)には程遠い状況であった.その大きな理由としては,英国の国策である雇用の優先と同時に,人間のスキル(技能)を活用するという英国の伝統的な考え方,が重視されている結果と考えられる.一方,英国を代表するロールスロイスでは,訪問先がエンジン工場であることも加えて,人間のスキルに依存した一品生産システムであり,スキルレベルは非常に高く,工作機械と人間との協調により非常に高い精度の加工を行っており,日本の同様の生産工場と比べ特徴の違いは見られなかった. 2.平成7年度 平成7年度は英国側からJ.Wilson教授が来日し,山根八洲男と共に,日本側工場(小松製作所大阪工場,トヨタ自動車(株)高岡工場,(株)フコク群馬第二工場,(株)小松製作所小松工場,松下電器産業(株)門真工場)を訪問し,実態調査を行った.また,山根八洲男,森川克己および松原行宏が英国を訪問し,トヨタUK,日産UK,コマツUKおよびホルセット(英国企業)の3社を調査した. その結果,自動車産業のように高度に自動化された企業では機械と人間との共存を強く意識するなど,日本の企業間でも自動化の将来あるいは自動化と人間とのかかわりについて,考え方の相違が明らかとなった. また,英国に進出した日本の企業はほぼ日本と同様の生産システムを取っていることが明らかとなったが,日本と英国の人件費の違いから自動化に対する考え方に若干の相違も見られた. 平成8年度 平成8年度は日本側から、大場史憲、鳴瀧則彦、山根八洲男、村山長、森川克美、松原行宏の5名が英国ノッチンガム大学を訪問し、ノッチンガム大学のWilson教授およびGindy教授等とこれまでに行った調査の結果について検討・意見交換し、本研究のとりまとめにかたについて双方の調整を行った。これまでに得られた結果の詳細は別刷報告書に述べるが特徴的な点を幾つか示すと、 (1)調査企業はいずれも自社の生産システムをCIMと認識していない (2)日本企業は英国企業と比較すると全般的に自動化推進に肯定的である (3)英国企業は労働コストの面からみて自動化推進に肯定的でない (4)英国企業は危険な作業や劣悪な環境の作業を自動化推進のに挙げているのに対し、日本企業では労働者人工の減少を自動化推進の理由としてとらえている (5)調査した企業ではいずれも各個別の部門において自動化・コンピュータ化は推進するが全体の統合化には消極的 (6)調査した企業ではいずれも自動化・省人化が生産性向上につながると考えていない ことなどが明らかとなった.
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