農業生産の高付加価値化に関する協力研究-チェン・マイ地方を事例に-

• 研究課題/領域番号: 06045036
• 研究種目: 国際学術研究
• 配分区分: 補助金
• 応募区分: 大学協力
• 研究機関: 愛媛大学
• 研究代表者: 上堂 秀一郎 愛媛大学, 農学部, 教授 (40036314)
• 研究分担者: EANGKOONCHOR スポート メチョー大学, 農生産学部, 講師 ; THONGWITTAYA ナリン メチョー大学, 農生産学部, 講師 ; KITROONGRUAN ニラミット メチョー大学, 農生産学部, 講師 ; CHUAVIROJ RA メチョー大学, 農生産学部, 助手 ; NOREE PRASIT メチョー大学, 農生産学部, 助手 ; JAYAMANGKALA ニポン メチョー大学, 農生産学部, 助教授 ; 中安 章 愛媛大学, 農学部, 助手 (20145064) ; 上田 博史 愛媛大学, 農学部, 助教授 (30116884) ; 高瀬 恵次 愛媛大学, 農学部, 助教授 (90133165) ; 杉本 秀樹 愛媛大学, 農学部, 助教授 (40112255) ; 加藤 正弘 愛媛大学, 農学部, 教授 (30036404)
• 研究期間 (年度): 1994 – 1995
• 研究課題ステータス: 完了 (1995年度)
• 配分額: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円); 1995年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円); 1994年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
• キーワード: 過剰土壌水分 / 灌漑施設 / 高飼料価値 / 高品質野菜 / 施設栽培 / 青果物流通 / 耐病性メロン / チェン・マイ地方 / アルギニン / リジン / 人工ゼオライト / 潅漑 / 光合成 / 水資源 / 水利用効率

研究概要

本研究の目的は、チェン・マイ地方を対象に、北部タイ地域の農産物の付加価値を高めるためにはどのような改善策が必要かを究明することである。現地のメチョ-大学研究者との事前協議により次の各研究課題を策定し、大学間協力研究を実施した。
(1):両国の作物生産における水環境の相違点および対処法
(2):熱帯地方における野菜の耐暑性・耐虫性遺伝資源の探索と導入
(3):暑熱環境下における家畜生産の問題点、高品質飼料生産の可能性
(4):複合化が進むチェン・マイ地方の農業経営のあり方
(5):施設園芸におる環境制御
本年度は、(1)、(2)、(4)の研究課題について日本から3名の研究分担者を11日間(1995年12月5日〜12月15日)派遣し、また、タイからはメチョ-大学の3名の研究分担者を、(2)、(5)の研究課題について11日間(1995年9月23日〜10月3日)、(3)の研究課題について13日間(1995年9月23日〜10月5日)招へいし、両大学間の協力研究および学術交流を遂行した。
1.(1)の課題研究では杉本が、メチョ-大学公開セミナーにおいて、過剰な土壌水分が根の発育阻害を通じて作物の収量および品質を低下させるとの研究成果を発表し、討論会を開催した。また、大学研究圃場、付属農場、園芸試験場などの現地調査を行い、高品質野菜生産の可能性について研究討議を実施した。一方、愛媛大学においては、高瀬が、平野部における地下水の水収支構造の研究から、平野部が都市化するに伴い、チェン・マイ地方でも水収支が不安定化することについて、また、上堂がWater〜use efficiencyの研究から、作物の水利用効率に影響する環境要因と、遺伝的体内要因について、学術交流を行った。
2.(2)の課題研究では加藤が、野菜・花卉の交配育種について発表し、今後の農産物生産には付加価値の高い新品種の開発が不可欠であるとの観点で討論を進めた。招へい研究分担者KITROONGRUANGは、愛媛大学公開セミナーで、タイ産メロンの地方種と導入種には耐虫性と耐病性に多様性があるとの研究発表を行い、これらに耐性の品種育成過程について討論がなされた。さらに、四国農業試験場でバイテク会議に出席し、応用研究について知見を深めた。
3.(3)の課題研究では招へい研究分担者THONGWITTAYAが、アヒル飼育の研究で可消化性植物繊維が生産性向上に寄与することを愛媛大学公開セミナーで発表し、畜産学研究者と討議を重ねた。また、養鶏団地や肉加工工場を現地調査して研究資料を収集した。これらは研究成果の取りまとめに役立ちつつある。
4.(4)の課題研究では中安が、日本における農業経営の複合化と農産物の販売戦略について公開発表し、討論会を開催した。また、北部タイの生産農家、チェン・マイ市周辺の選果場、市場・商店を現地調査し、農業経営状況および農産物流通状況を視察した。今後は、タイにおける需要の高度化にも対処すべく、付加価値を高める農産物を開発すること、その生産時期や販売方法に関する調査分析が重要であることなどについて検討会を開催した。
5.(5)の課題研究ではタイの研究分担者EANGKOONCHORNが、北部タイでの一般的施設園芸における環境制御について研究発表し討論した。また、愛媛大学の制御化農業実験施設を視察し、久万町の高原野菜生産農家でトマトやピ-マンの生産状況を現地調査し、夜冷温と果実の品質との関係について指針を得た。
以上のように、各課題毎の研究はおおむね当初の計画通り遂行された。本研究で得た各研究者の現地経験は、今後の各自の研究活動に、また、一層緊密な協力研究・学術交流にその成果が活かされることが期待される。
研究代表者は、この研究期間中に、メチョ-大学研究分担者が推薦した2名の留学生を短期留学推進制度により受け入れることが出来た。さらに、招へい研究者のTHONGWITTAYAは、この研究期間中に、研究分担者の示唆により博士論文を纏め、愛媛大学連合農学研究科に学位を申請し、予備審査を修了したことを付記しておきたい。

研究成果

• [文献書誌] Sugimoto,H.and T.Satou: "Effects of excessive soil moisture on seed yield of buckwheat." Curr.Adv.in Backwheat Res.637-642 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] 李,秀秀 柿原,文香 加藤,正弘: "中国産哈密瓜(ハミウリ)の遺伝育種学的研究第2報哈密瓜と耐病性マスクメロン9-8系統とのF1における雑種強勢." 育種学雑誌. 45. 273- (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] Ueda,H.,T.Imanishi,R.Hukumi and S.Kumai: "Effects of dietary lysine and arginine on growth performance and serm cholesterol level in chicks." Anim.Sci.Technol.66. 412-421 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] Ueda,H.,A.Matsumoto and S.Goutani: "Effects of soybean saponin and soybean protein on serum cholesterol concentration in chicks." Anim.Sci.Technol.67(印刷中). (1996)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] 高瀬,恵次 藤田,義博: "平野部における地下水の水収支構造(IV)" 農業土木学会中四国支部講演要旨集. 145-147 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] 高瀬,恵次: "雨水保留量に関する水収支的考察" 応用水文. 8. 11-16 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] Jodo,S.[分担] Ed,by Matsuo T.: "Science of the rice plant.Vol.Two Physiology.II Nutrients and water relations.Chapter 7 Water use and drought resistance.1.Water-use efficiency." Food and Agr.Policy Res.Center (Nobunkyo), 1240 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] 中安,章: "消費構造の変化と青果物流通" 農林統計協会, 170 (1996)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] Sugimoto, H.and T.Satou: "Effects of excessive soil moisture on seed yield of buckwheat." Curr.Adv.in Backwheat Res.637-642 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] Li, X., kakihara, F.and Kato, M: "Genetical and thremmatological studies on Chinese Hami melons, 2. Heterotic effects in F1 hybrids between Chinese Hami melons and heat tolerant muskmelon strain 9-8." Breeding Science. 45. 273 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] Ueda, H., T.Imanishi, R.Hukumi and S.Kumai: "Effect of dietary lysine and arginine on growth performance and serm cholesterol level in chicks." Anim.Sci.Technol.66. 412-421 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] Ueda, H., A.Matsumoto and S.Goutani: "Effects of soybean saponin and soybean protein on serum cholesterol concentration in chicks." Anim.Sci.Technol.67 (in press). (1996)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] Takase, K.and Hujita, Y.: "Water balance of groundwater in a basin (IV)." Proc.Symp.the Chugoku-Shikoku Branch of JSIDRE. 145-147 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] Takase, K.: "Study of rainfall loss based on the conception of water budget." Applied Hydrology. 8. 11-16 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] Jodo, S.(Ed.by Matsuo, T.): Food and Agr.Policy Res.Center (Nobunkyo). Science of the rice plant.vol.Two Physiology.II Nutrients and water relations. Chapter 7 Water use and drought resistance. 1. Water-use efficiency., 461-474 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] Nakayasu, A.: Nourin Toukei kyoukai. Marketing of vegetables and fruits in changing consumption pattern., 1-170 (1996)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] K.Takase: "Comparison of evapotranspiration between a re-claimed upland field and a forest catchment." 水文・水資源学会誌. 7. 495-502 (1994)
• [文献書誌] H.Ueda: "Effect of dietary lysine and arginine addition on growth performance and serum cholesterol level in chicks." Anim.Sci.Technol.(Jpn.). 64(印刷中). (1995)
• [文献書誌] H.Sugimoto: "Effects of excessive soil moisture on seed yield of buckwheat." Proc.of International Synposium of Buckwheat.(発表予定). (1995)
• [文献書誌] 上堂秀一郎: "人工ゼオライトの施用が各種用土の野菜の初期生育に及ぼす影響" 園芸学会雑誌. 64(発表予定). (1996)