研究課題/領域番号 |
06045043
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 大学協力 |
研究機関 | 大分医科大学 |
研究代表者 |
小澤 秀樹 大分医科大学, 医学部, 教授 (90204198)
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研究分担者 |
CASTRO Merce 国立アイバール病院, 消化器病臨床研究センター(サントドミンゴ自治大学の関連教育病, 疫学部長
PIMENTEL Ron サントドミンゴ自治大学, 医学部, 教授
伊東 盛夫 大分医科大学, 医学部, 教授 (70038751)
PICHARD Rafa サントドミンゴ自治大学, 医学部, 教授
MERCEDES Cas 国立アイバール病院, 消化器病研究臨床センター・(サントドミンゴ自治大学の関連教育, 疫学部長
CARLOS Amoro サントドミンゴ自治大学, 医学部, 教授
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研究期間 (年度) |
1994 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
5,700千円 (直接経費: 5,700千円)
1996年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1995年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1994年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | ドミニカ共和国 / 虚血性心疾患 / 死亡統計 / 危険因子 / 総コレステロール / 栄養摂取状況 / 死亡診断習慣 / 栄養調査 / 24時間思い出し法 / 脂質エネルギー比 / 因子分析 / 死因統計 / 死亡診断 / 診療記録 / 血清総コレステロール / HDLコレステロール / 高血圧 / 喫煙率 |
研究概要 |
ドミニカ共和国はカリブ海のイスパニョ-ラ島の東に位置する、人口約750万人の開発途上国である。この国の死亡統計によれば、虚血性心疾患(CHD)が死因の第2位を占めている。感染症が主な死因となる開発途上国のなかで、CHDが上位を占めていることは、当国にCHDのリスクを増大させる要因があるのではないかと考えられた。そこで、CHDのリスクの大きさを把握することを目的に、ドミニカ人の冠危険因子および栄養摂取状況についての疫学的研究を行い、さらには、死亡統計の妥当性の検討を加えた上で、CHDのリスクの評価を行った。 同国の人口の3割を有する首都サントドミンゴ市において5地区、地方の農村と海浜地区5地区の10地区において、20〜76歳の男女各地区約200人、計1,964人を抽出し、血清脂質、血圧および喫煙の冠危険因子の調査を1993年に実施した。血清脂質は凍結保存した血清を空輸し、国際的に比較しうる精度管理のもとに当大学において測定した。総コレステロールの平均値は、日本の第4次循環器疾患基礎調査成績(1990年)と比較し、男では30、40、50歳代で約15mg/dl低く、60、70歳代ではほぼ同じであった。女では、各年齢階級とも5mg/dlほど低く、大きな差を認めなかった。HDLコレステロールの平均値は、男女、各年齢階級ともドミニカ人は日本人より10〜20mg/dl低かった。血圧の平均値は性・年齢階級別にみても日本人よりドミニカ人の方が低く、これは肥満度別にみても同様の傾向であった。喫煙率は、ドミニカ人が男24.3%、女17.1%と日本人の男55.6%、女9.5%に比べ、男で低かった。 栄養摂取状況の把握は、サントドミンゴ市にある消化器センターの職員103人(男22人、女81人)に対して、面接聞き取りによる24時間思い出し法により栄養調査を実施した。その結果、一人一日当たりの平均摂取エネルギーは2030kcalであり、たんぱく質、脂質、炭水化物の摂取量はそれぞれ66.3g、89.1g、248gであった。栄養比率でみると、脂質エネルギー比が39.5%、糖質エネルギー比が48.6%であった。たんぱく質と脂質に含まれる動物性の割合をみると、動物性たんぱく質比が61.9%、動物性脂質比が42.8%であった。また、収入状況別にみると動物性たんぱく質と動物性脂質の摂取量が収入に順じて増える傾向にあった。次に、14食品群の摂取状況から食物消費構造をみるために、食品群別摂取量を変量として因子分析を行った。その結果、第1因子に穀類、豆類、油脂類などの「主食型」、第2因子に果実類砂糖および甘味類などの「単純糖質型」、第3因子に肉類、いも類などの「主菜型」の因子(第3因子までの累積寄与率35.6%)が抽出され、これらの因子に代表されるドミニカ人の食事パターンがうかがわれた。ドミニカ人の食事の傾向として脂質エネルギー比は高いけれども、動物性の比率は低く、このことは穀類、豆類といった主食の調理の際に用いられる植物油の多さが要因として考えられた。こうした食事の傾向からは、血液中の総コレステロールが高くなるとは考えにくく、栄養摂取状況の面からみれば、先に行った総コレステロールの状況を支持する結果といえる。 さらに、死亡診断の確かさを検討することを目的に、当国中央部に位置するサルセ-ド地区(人口10万人)の1990〜91年の2年間の全死亡票より循環器疾患223例を抽出した。このうち、CHDは32%で心不全(19%)や脳血管疾患(17%)より多かった。ところがCHDに分類された72例のうち21例の死亡診断名が「心臓発作」と記されていた。この診断状況を検討するためサルセ-ド地区の唯一の国立病院に赴き、同病院が診断した循環器疾患死亡例の診療記録を調査した。診療記録を把握できた10例のうち、心電図記録のあるものは2例のみで、1例は心筋梗塞の所見を確認できたが他の1例は心電図に同所見を認めなかった。また、心筋梗塞の診断に必要な血清酵素検査が実施された例は1例もなかった。したがって、心筋梗塞の可能性を考える所見が乏しいままにCHDに分類される死亡診断がつけられているものが多いものと考えられた。 さらに、死亡例の約8割は病院以外で死亡しており、医師は死亡の報告にきた家族から死亡にいたる状況を聞いて死亡診断書を書くことが通例であることが判明した。すなわち、CHDが死亡統計上多いことは、死亡診断習慣の影響が大きいものと考えられた。 以上、CHDに関して、冠危険因子、栄養摂取状況、さらには死亡診断の実態についての検討を重ねてきた結果、ドミニカ人のCHDのリスクは必ずしも高いとはいえず、当国の死亡統計上みられていた傾向は、むしろ死亡診断習慣の反映による結果であることが示された。
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