研究課題/領域番号 |
06045049
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 大学協力 |
研究機関 | 郡山女子大学 |
研究代表者 |
金田 尚志 郡山女子大学, 家政学部・食物栄養学科, 教授 (50005568)
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研究分担者 |
許 採玉 漢陽女子大学, 教授
金 天浩 漢陽女子専門大学, 栄養管理研究所, 教授
角野 猛 郡山女子大学, 家政学部・食物栄養学科, 助教授 (60128981)
金子 憲太郎 郡山女子大学, 短期大学部・家政科, 教授 (70112612)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1994年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 鰹だし / 塩辛エキス / 塩辛ペプチド / 官能検査 / 順位法 / 蕃椒醤 / 醤油 / 韓国古代食 |
研究概要 |
研究代表者らは1987年から過去5回に渡り、科学研究費補助金(国際学術研究-大学間協力研究)の交付を受け、韓国と日本の食文化の係わりに関して研究を続けてきた。 当初は宗教や風俗いわゆる文化人類学的方向での研究であったが、次第に食品科学的観点からの研究に移行していった。こうした変遷は、日韓の食文化を食品科学的観点から論じた報告がみられないことと、韓国人が好むある種の食品(例えば、ス-プ類など)には日本人に好まれないものがあることなどに主要因がある。具体的な研究方法としては、日韓で共通な調味料である、味噌・醤油や塩辛などの呈味成分の分析とその結果に基づいた呈味特性の究明であった。その結果、それら日韓食品の呈味特性には明らかな差異のあることを学会誌に論文として報告した(日本および韓国産塩辛の遊離糖,5'-リボヌクレオチド、遊離アミノ酸、オリゴペプチドについて:日本食品工業学会誌、39、1069(1992)。、日本及び韓国産味噌・醤油の有機酸、遊離糖、遊離アミノ酸、オリゴペブチド:日本食品工業学会誌、41,148(1994)、蕃椒醤の有機酸、遊離糖、遊離アミノ酸、オリゴペプチド:日本食品工業学会誌、41、568(1994)など)。こうした差異はそれら調味料の製造方法の違いにもよるが、基本的には日本人と韓国人の食嗜好の差異に起因すると考えられる。 今年度は以上の結果をもとに、日本人と韓国人の食嗜好の差異を官能検査により検討した。また、日本の神せんと韓国古代食の関係についても調査を引き続き行った。 さらに韓国特有の調味料である蕃椒醤の呈味性についてもさらに検討を加えた。 1.抽出エキスの凍結乾燥物を試料とした官能検査 官能検査の概略は次のようである。 パネラ-:韓国漢陽女子専門大学学生50人、同教員30人。 郡山女子大学短期大学部学生50人、同教員及び職員30人、 官能検査試料:研究室製鰹だしの凍結乾燥物、研究室製昆布だしの凍結乾燥物、 研究室製合わせだし、研究室製塩辛エキスの凍結乾燥物、 研究室製塩辛ペプチドの凍結乾燥物、その他。 官能検査の方法:順位法 官能検査試料を水に溶解し塩分濃度0.8%、T-Nを5.0%に調整した。 日本人女子学生は鰹だし、塩辛エキス、合わせだしの順で嗜好度が高く、塩辛ペプチドは最も好まれなかった。韓国人女子学生は塩辛エキス、鰹だし、塩辛ペプチドの順で嗜好度が高かった。したがって、日本人女子学生は鰹だしの味を最も好むが、韓国人女子学生は塩辛エキスの味を最も好みまた塩辛ペプチドの味も好むといえる。 以上の結果と各官能検査試料の分析値から考え、日本人女子学生はグルタミン酸やイノシン酸の呈するうま味を好むが韓国人女子学生はそれらのうま味の他にペプチドの呈する味も好む考えられる。このことは、我々が提唱していた日本人と韓国人の食嗜好の差異を裏付ける結果である。しかし、本結果はいわゆる調味料的要素の試料に対する結果であるので、今後は日常的食品のス-プ類やそのエキスを試料として同様な官能検査をする必要がある。こうしたことについては次年度の研究課題としたい。また、調理法の差異とその際に生成するペプチドなど呈味成分に関しても検討し、日本人と韓国人の食嗜好の差異と類似性を究明したい。 2.日韓両国の醤油を試料とした官能検査 パネラ-、方法は上記1と同様である。供試した試料は日本製市販醤油、韓国製市販醤油、韓国自家製醤油の3品とした。 その結果、日本人女子学生は日本製市販醤油>韓国製市販醤油>韓国自家製醤油の順で嗜好度が高く、韓国人女子学生は韓国製市販醤油>日本製市販醤油>韓国自家製醤油の順で嗜好度が高かった。以上の結果と各醤油の成分分析の結果から上記1の場合と同様、日本人女子学生はうま味、韓国人女子学生はうま味とペプチドの味を好むと考えた。 3.蕃椒醤の呈味特性 韓国特有の調味料の蕃椒醤(日本人にも好まれる)の呈味特性を自家製蕃椒醤と市販蕃椒醤について検討中である。自家製蕃椒醤は韓国の共同研究者が収集した、製造年月日、、原料配合比率の明確な蕃椒醤である。市販蕃椒醤はソウルで購入した代表的な蕃椒醤5検体である。これらについて、うま味成分の変化の動向を経月的に分析中である。 4.日本の神せんと韓国古代食に係わる調査研究 韓国と関係のあると考えられる神社には韓国古代食が色濃く残っていることを明らかにした。
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