配分額 *注記 |
190,000千円 (直接経費: 190,000千円)
1996年度: 16,000千円 (直接経費: 16,000千円)
1995年度: 38,000千円 (直接経費: 38,000千円)
1994年度: 136,000千円 (直接経費: 136,000千円)
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研究概要 |
反強誘電性(SC_A^*相)の発現機構解明を様々な角度から試み,不斉炭素近傍の短軸方向双極子モーメントが傾き面に平行な自発分極をスメクティック層境界に形成して安定化するとのP_Xモデルを提唱した.このモデルに基づいて強誘電・反強誘電の拮抗を考察し,新物質において見出したV字型スイッチングが新概念である無閾反強誘電性により理解できることを示し,液晶ディスプレイへの応用を示唆した.具体的結果は: 1.X線回析(既設)でスメクティック層秩序度を求め,SC_A^*相の層完成度が高いことを確認した. 2.分光学的手法により4点を明らかにした. (1)偏光ラマン(既設)により,SC_A^*相の分子配列・配向を確認. (2)キラルアルキル鎖の折れ曲がり,歳差運動,平均的鎖軸まわりの2軸性をNMR(新設)・偏光赤外(新設)により液晶相で確認. (3)偏光赤外により分子長軸まわり束縛回転,SC^*相とSC_A^*相とにおける束縛方向の差異を確認,電界誘起相転移の閾値がその間の障壁に起因することを明確化,P_Xモデルを提唱. (4)キラルアルキル鎖歳差運動の束縛を偏光赤外で確認,集団運動している可能性をNMRにより指摘. 3.SA相における分子長軸まわり回転緩和時間をピコ秒光カー効果(新設)で測定し,定説を覆えしてcritical slowing-downが起こらないことを明らかにした. 4.温度勾配のもとで自己保持膜の副次相を偏光顕微鏡(既設)観察し,山下による理論的取り扱いが妥当と結論した. 5.一見,反強誘電性の液晶で3安定スイッチングとは全く異なるV字型スイッチングを観測し,傾きの層間における無秩序化とLangevin配向に基づく無閾反強誘電性により説明した. 6.偏光赤外・NMRによりSI_A^*相の反強誘電性は,SC_A^*相の場合と同じく,P_Xモデルで理解可能と結論した. 7.CD分光(新設)によりSC_α^*相を研究して,螺旋が動的なものであると結論し,「熱的に転傾が励起されている系」との推測を支持した. 8.キラルアルキル鎖を連結したダイマーを使い,SC_A^*相発現に双極子-双極子間の電気的相互作用が重要であることを示した. 9.5T超伝導マグネット(新設)を導入し配向セルの作製を容易にするとともに,配向機構の解明,配向を乱す欠陥構造について研究した.
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