研究概要 |
今年度は平成4年度と5年度の研究成果を整理するとともに,平成5年度の研究を継続した.つまり,アクセシビリティ変化をもたらした要因を解析した.ある都市に居住する人は,他の都市に居住する人と比べて空間的行動を行う上でアクセシビリティを急速に高めたのであるが,それがなぜもたらされたのか交通・情報ネットワークの発達との関連で明らかにした.具体的には,どの都市の人間がどのような制約を受けるかを,国土庁が提案した『全国一日交流圏構想に基づく交流可能性指標』を用いて解析した.この指標は人間の一日の行動時間を12〜14時間として,「交流するため」すなわち用務地で相手方と面談し,その用件を済ますのどれだけの時間をとれるかを示す指標である.用務地までの移動時間が長いほど面談時間は短くなる.国土庁は207生活圏間の交通移動時間(乗換時間も加味)に基づく交流可能性指標をデータベース化しているので,この資料を研究に利用した.各生活圏毎に時間帯別と交通機関別に交流可能性指標を算出し,それを地図化した. ついで,本年度は情報流動(電話通信)の起終点行列を用いて日本の空間的情報圏の特性について解析を行った.具体的には,最大流動法を用いて,電話通信からみた結節地域を設定した.そして都市の階層と情報圏の大小との関連を明らかにした.
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