預金保険機構の研究 わが国において預金者保護を目的に預金保険機構が設立されたのは1971年である。この時、戦後の金融行政の方針、すなわち銀行はつぶさないという方針が見直されたかのようにみえた。しかし、現実に危機に陥った金融機関を閉鎖して、預金者にペイオフを行うことは一度もなかった。預金保険機構設立以前と同様に、健全な銀行による救済合併という方策が採られたのである。 1986年の法改正によって、預金保険機構は新たな政策手段を得た。救済金融機関に対して資金援助(融資または贈与)が出来るものとされたのである。これによって、制度的にも本来の「預金保険」の意味はいっそう薄れることになった。 金融の自由化によって金融機関の競争が激化し、それにともなって格差が明白になることが予想される今後、「護送船団方式」をどのように見直していくか、預金保険の仕組みをどのよう活用していくか、ますます重要な研究課題となる。アメリカにおける実態調査とともに、日本の戦後がどのように見直されていくか、引き続き調査したい。
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