研究課題/領域番号 |
06205101
|
研究種目 |
重点領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
小林 重雄 筑波大学, 心身障害学系, 教授 (30006902)
|
研究分担者 |
肥後 祥治 筑波大学, 心身障害学系, 助手 (90251008)
渡部 匡隆 愛知県コロニー発達障害研究所, 能力開発部, 研究員 (30241764)
加藤 哲文 土浦短期大学, 保育科, 助教授 (90224518)
|
研究期間 (年度) |
1994
|
研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
|
配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1994年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
|
キーワード | 自閉症 / 言語訓練 / コミュニケーション |
研究概要 |
障害児・者のコミュニケーション行動の獲得について、応用行動分析学に基づく手法の有効性が示してきている。しかしながら、獲得されたコミュニケーション行動が家庭などでどのように利用されているかについての情報は少ない。本研究は、自閉症児1名に要求語ならびに拒否語(「いらない」)を訓練し、訓練終了後、家庭場面での評定を行い、家庭で生起したコミュニケーション行動について分析を試みた。対象児は生活年齢9歳11ヵ月の自閉症男児であった。マニュアル・サインならびに写真カードの選択による物品要求が訓練室において可能であった。また、音声表出言語としては、要求時に「ちょうだい」といえた。また音声模倣も可能であった。一方、日常場面では、「ちょうだい」は使用されているが、サインやカード選択などの反応は存在しなかった。本研究で行われた観察の結果、1)新たに獲得された拒否語が家庭場面で生起し、2)最初の階段で混乱していた拒否語と要求語の使い分けも成立した。しかし、3)訓練室で新たに形成したマニュアル・サインや写真カードに対する指さし行動は生起しなかった。これは、訓練者が家庭場面で観察を開始したことが手がかりとなって、対象児に対する家族の働きかけが変化したためであるといえる。そして、家族の新たな働きかけ(例えば、食べたくないものを突き返すときにモデルを示す、あるいは「いらない」といわれたら働きかけをやめるなど)の対象となった拒否語は生起する一方で、働きかけの対象とならなかった名称反応は、家庭内では生起しなかった。また、要求語と拒否語は、家族と対象児とのやりとりの中で、徐々に場面に応じて使い分けられるようになっていったと思われる。以上のように、訓練されたコミュニケーション技能を家庭場面で生かすためには、対象児と家族との間の強化随伴関係を、継続的に観察ならびに調整していく必要があろう。
|