研究課題/領域番号 |
06205104
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
無藤 隆 お茶の水女子大学, 生活科学部, 教授 (40111562)
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研究分担者 |
常田 秀子 東洋大学, 文学部, 助手 (40246773)
遠藤 利彦 聖心女子大学, 文学部, 専任講師 (90242106)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1994年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 乳幼児 / 自己理解 / 他者理解 / 動作主性(agency) / 客体的特徴 / 縦断研究 / 愛着 / (心的状態に関する)語彙獲得 |
研究概要 |
本研究は、a)乳幼児の自己および他者に関する理解がどのような発達過程を経るのか、またb)それは子どもの言語(特に心的状態や関係性に関する語彙)獲得とどのような関連性を有しているのか、さらにc)自他理解の個人差はどのような母子の関係性の影響を受けて生起してくるのか、といった問題の解明を目的とし、母子34組を対象に、1歳から3歳までの(主に家庭訪問による)縦断的観察・調査を実施している(現在2歳までのデータを収集済み)。現在までに以下のような結果が得られた。 (1)自他の客体的特徴(身体的特徴、所有物、名前などの理解)に比して、動作主性(agency)(自分および他者が行動を起こす主体であるということへの気づき)に関する理解の方が相対的に早く発達する傾向が認められた。後者は生後12カ月で大半の子どもにその原初的形態が認められたのに対し、前者に関しては生後18カ月になってようやく40%程度の子どもにその萌芽が認められた(鏡に映った自他の認知にクリアし得た)。 (2)自己と他者(母親)の動作主性の理解を比較すると、生後12カ月では自己理解の方が高いレベルにあったのに対し、生後18カ月になると自己と他者理解の間に差異は認められなくなった(動作主性に関しては自己理解が先行し生後18カ月頃に漸次的に他者理解が追いつくといった発達過程が想定できる)。 (3)生後12、18カ月両時点の動作主性の理解が高い子ほど、生後18カ月の各種の(知覚、感情、欲求、身体部位などに関する)発話語彙数が多いという結果が得られた。また、生後18カ月の客体的特徴に関しても類似の結果が得られた。自他理解の発達は心的状態等に関わる語彙の獲得を何らかの形で支えるものなのかも知れない。 (4)生後12カ月時にQソ-ト法をもって測定した母子の愛着の安定性と生後12、18カ月の自他理解の間には明確な関連性は見出されなった(ただし愛着と語彙獲得の間には微弱ながら関連性が認められた)。
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