研究課題/領域番号 |
06206108
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 鈴鹿国際大学 |
研究代表者 |
木之内 秀彦 鈴鹿国際大学, 国際学部, 講師 (00204941)
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研究分担者 |
五島 文雄 大阪外国語大学, 外国語学部アジアII講座, 助教授 (90153767)
松岡 完 筑波大学, 社会科学系, 助教授 (30209514)
藤原 帰一 東京大学, 社会科学研究所, 助教授 (90173484)
石井 修 一橋大学, 法学部, 教授 (60116530)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1994年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | 東南アジア / 冷戦 / 共産主義 / 脱植民地化 / 中ソ対立 |
研究概要 |
本研究班々員の実績を個別に纒めると、まず木之内は、昨年度に続き1950年当時の中国-ソ連-ベトナムの共産主義国間の関係を検証する作業を進め、この3国関係が表面上のイデオロギー的団結とは裏腹にそれぞれの冷徹な国益・党益さらには最高指導者の個人的思惑の交錯の産物であった可能性を近年利用可能となった共産側資料を一部活用しつつ論証に努めた。石井はイギリスの対東アジア・東南アジア政策を手ががりに、第二次世界大戦を契機とする脱植民地化現象と冷戦の起源・展開との関連を考察すると共に、1960年代の国際政治を冷戦変容の過程と促える観点から再検討する作業を指導した。藤原は、共産主義への対抗的処方箋の期待も込められてきた東南アジア諸国の開発・工業化とそれに伴う社会階層意識の変容の意味を、政治社会的に論究し、「ミドルクラスの台頭が民主化の推進を支える」という通俗的命題の妥当性を厳しく問直した。松岡は1960年代ケネディー政権期の米国の対ラオス・ベトナム政策形勢過程を考証し、それを戦後のアメリカの「地域関与」或いは「戦後秩序構想」の全般的文脈に位置づけて統合的に理解せんと試みている。五島は1980年代のベトナム共産党の党大会決議・法令・布告等を入念に精査し、ベトナムの政治経済面の制度・法制・機構の改革に反映された同国の冷戦末期・冷戦終結後の国際環境認識とくに対ソ連認識の変容を追跡した。班全体の共通認識として、東南アジアを冷戦という本来的には域外由来の力学に他律的に翻奔された客体と促える理解から脱却し、東南アジアが冷戦を国内消費用に翻訳し加工した面があったのではないか、東南アジアの冷戦対応が域外の国際政治体系に何らかの逆転写をした面がなかったか、との仮説を設定しつつ、東南アジアの冷戦を域外力学と域内力学の連関と相互翻訳として理解を試みることを申し合わせた。
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