研究課題/領域番号 |
06212101
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
今泉 敏 東京大学, 医学部(医), 助教授 (80122018)
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研究分担者 |
出口 利定 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (50143623)
河野 守夫 神戸市外国語大学, 教授 (20073364)
小嶋 彰三 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (70027499)
新美 成二 東京大学, 医学部(医), 教授 (00010273)
桐谷 滋 東京大学, 医学部(医), 教授 (90010032)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1994年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | 感性情報 / 音声コミュニケーション / 発達 / 進化 / 認知 / 表出 / 乳児 / 霊長類 |
研究概要 |
ヒト及び霊長類を対象に声による感性情報の表出と認知機構を研究し以下の結果を得た。1)教師が難聴児・健聴児に対して使用する対話音声における感性情報と言語情報の関連を調べた。教師は難聴児の会話理解を助けるために、会話の時間構造を調節し、構音様式を変えること、その様な状況依存的な調節が会話音声の分節的特徴のみならず感性的特性(好ましさ、分かり易さ、包容度など)にも影響を及ぼすことが示された。音声における感性情報は対話進行の上で重要な役割を果たしていると考えられた。2)2カ月齢の乳児を対象に感性的コミュニケーションを行うのに必要な音声を乳児が発声できるかどうかを調べた。その結果、音声の非言語的要素を通してコミュニケーション行動を行うのに必要な音声を、言語運用能力が発達する以前の2カ月齢乳児でもある程度発声できること、声による感性情報表出の発達には個人差があることが示された。3)2群のチンパンジーの出会い時の音声を含む社会的交渉の規定因を調べた結果、社会的構造、性、年齢、優劣関係、身体間の分離時間などが重要であることがわかった。4)ジェスチャー等の疑似言語情報と音声言語情報のかかわり合いを調べ、ジェスチャーがことばの生成や認識に深くかかわっていることが示唆された。以上の結果は、音声の持っている記号的情報に加えて非記号的・感性的情報が音声コミュニケーションにとって重要な役割を果たすこと、ヒト乳児における感性的情報表出は早期に観測されること、霊長類にもその原型が観測されることを示し、感性的コミュニケーション機能の進化・発達を探る上で貴重な知見が得られた。
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