研究課題/領域番号 |
06212221
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都市立芸術大学 |
研究代表者 |
大串 健吾 京都市立芸術大学, 音楽学部, 教授 (00203745)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1994年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 感性 / 感性情報 / 音楽 / 演奏 / SD法 / 好み / テンポ / 表現語 |
研究概要 |
ある一定水準以上の音楽の演奏を聴取したときの演奏に対する良さの評価(好み)は聴取者によって大きくばらつくことがしばしばある。このことは演奏のさまざまな側面に対する評価が聴取者によって異なるからであろう。音楽の心理的な評価は表現語対を用いて行われることが多いが、表現語対は主観的なものから客観的なものまで幅が広い。そこで演奏の印象表現語の客観性の階層構造(主観的-客観的)を調べた。その結果によれば、「好ましい」「幻想的な」「しゃれた」「暖かい」等が、最も主観的で、「テンポが速い」「響きが多い」「ゆれが多い」等が最も客観的であった。また、聴取者によって演奏の良さの評価は異なるが、聴取者は平均的には、かなり客観的な指標である、「響きの多さ」「テンポ感」「ゆれの大きさ」のそれぞれに対して異なった重みを掛けて演奏の良さを判断していることが示された。 聴取者が感じ取る演奏者の演奏意図の伝達においては、聴覚だけでなく視覚的な要素も強く影響していると考えられる。そこで、身体の動きの多い打楽器を用い、プロの打楽器演奏者1名が、多様な解釈の可能な打楽器の曲を、「寂しげに」「楽しげに」「あっさりと」「勢いのある」「重々しく」その他の演奏意図で演奏し、14名の聴取者に対する演奏意図の伝達に関する心理実験を行った。その結果、聴取者が聴覚単独で判断した場合は、平均伝達度は65.6点(100点満点として)であったが、視覚単独では62.0点となった。しかし視聴覚情報を同時に与えると、伝達度は全体的に上昇し、平均伝達度も73.0点と大幅に上昇した。この結果は、演奏の印象に聴覚情報だけでなく視覚情報も重要な役割を果たしていることを示している。
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