研究課題/領域番号 |
06212227
|
研究種目 |
重点領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 樟蔭女子短期大学 |
研究代表者 |
三浦 佳世 樟蔭女子短期大学, 人間関係科, 助教授 (60239176)
|
研究期間 (年度) |
1994
|
研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
|
配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1994年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
|
キーワード | 時間表現 / 視覚要因 / 絵画・写真 / 色調 / 空間周波数 / 方向性 |
研究概要 |
静止した空間表現の中に時間の印象を感じることがある。例えば、1枚の絵画や写真の中に、時間の経過や、スピード感、過去などを感じることができる。こうした印象が、描かれた「内容」ではなく、表現された「形式」によって喚起される場合、どのような空間要因が時間印象の生起に関わっているのであろうか。本研究は、画面から感じられる時間印象の生起因を明らかにするとともに、感性情報処理の一端を考察したものである。 昨年度の研究成果を踏まえ、1)鑑賞時における生起因の要因分析および、2)表現時における空間要因の分析の双方から検討を行った。以下にそれぞれの結果を示す。 1)昨年度の研究では、画面から得られる時間印象には、a:時間軸のある時点、b:持続する時間、c:停止した時間、d:動き・変化・スピード感の4種があること、それらは、a:色彩、b:構図、c:余白、d:空間周波数に関わりのあることが示唆された。本研究では、このうち、aおよびdに関し、さらに検討を行った。その結果、色調を変化させることにより、未来的・現代的な印象を過去的な印象に変え得ること、高空間周波数成分を除去することにより速度感の低下を導き得ることを確認した。これは、先の結果を支持するものである。 2)表現時にも鑑賞時と同様の空間要因が使用されるのかを、芸術大学生に課した表現課題から検討した。その結果、鑑賞時に示された空間要因に加え、概念的・抽象的表現に重点の置かれることが示された。例えば、時間軸を矢印(方向性)で表現したり、未来を白で現わすなどである。これらの表現が別の鑑賞者に正しく伝わるかどうかを検討したところ、一部に特徴的な理解の不一致が示され、文化に関わる視点の導入が示唆された。検討に値する興味深いテーマであり、引き続き研究を行いたい。
|