研究課題/領域番号 |
06213102
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
西原 克成 東京大学, 医学部(病), 講師 (10010323)
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研究分担者 |
高久田 和夫 東京医科歯科大学, 医用器材研究所, 助教授 (70108223)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
1994年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
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キーワード | 機能適応現象 / ピエゾ電位 / 有限要素解析 / 主応力線 / 流動電位 / 間葉系細胞の遺伝子発現 / 流性の流動 / 造血ト造骨 |
研究概要 |
骨組織の生体力学的特性と電気生理学的特性との相互関係を調べ、これによる骨の形態的機能適応現象の解明を目的として、人工歯根と人工骨髄を用いて研究を行い、以下の結果を得た。 1.咀嚼運動に近似した反復荷重下で、アキレス腱を代用骨として作製した人工歯根模型の各部位で、波形の異なる重層波動の発生が観察された。ピエゾ電位の測定は困難であった。 2.有限要素解析と動物実験の組織標本との対比では、人工歯根に機能を加えた群では釘植(靭帯結合)が生じ、主応力線が靭帯関節により直交する成分に変換される所見が観察された。固有歯槽骨・骨梁・皮質骨の新生はすべて主応力線の走行と一致していた。安静にした群では骨性癒着が生じ、主応力線は歯根と骨との間を一体として流れ、歯周部の境界面に炎症を伴わない破壊性の骨の改造が観察された。 3.人工歯根・顎骨の立体模型では咀嚼の反復荷重は、歯根膜において波動の形に変換されて周囲骨に伝えられた。波動の形は歯根表面の形状と固有歯槽骨の表面形状に依存していた。歯の周囲骨も顎骨の皮質骨もともに液性流動で新生される所見が得られた。 4.人工骨髄チャンバーの実験では、筋肉内では液性流動に従ってアパタイト多孔部の周囲に骨の形成が開始される像が得られた。皮下では造骨と造血にはBMPの存在が必要であった。生食水の流入試験ではガラス管内のアパタイトで電位の発生が観察された。 これらの結果から本研究を総合することにより歯周部の骨が主応力線の走行に一致して形成されることが明示され、従ってこの部の立体模型を作成することができた。主応力線の走行は液性に伝達され流動電位として機能すると考えられた。遠隔部の骨の改造も液性の圧力による波動が主応力線として作用し、造血と造骨が生じ、造血巣は骨の改造とともに縮小しやがてハ-バース管に変容する像が観察された。主応力線は液性に伝播し、流動電位に変換され、これが間葉系細胞に作用して遺伝子が発現し、造血と造骨が生ずると考えられた。
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