研究課題/領域番号 |
06213219
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
伊藤 宏司 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (30023310)
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研究分担者 |
鄭 心知 豊橋技術科学大学, 工学部, 助手 (10262966)
山北 昌毅 豊橋技術科学大学, 工学部, 講師 (30220247)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
1994年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
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キーワード | 筋骨格系 / バイオメカニクス / 冗長自由度 / インピーダンス調節 / スティフネス / 運動制御 |
研究概要 |
直立姿勢の維持、歩く、走るといったロコモーション、リーチングやマニピュレ-シュンなどの上股動作、さらにはテニスやバスケットといったスポーツ運動など、私たちが日常行っているさまざまな運動は、筋骨格系という多自由度のシステムを制御することに特徴がある.しかも、私たちの身体は100以上の関節自由度をもつ非常に冗長なシステムであり、複雑な非線形力学系である.したがって、滑らかで巧みな運動を実現するためには、これらの冗長自由度を何らかの拘束しなければならない.本研究では、筋骨格系のバイオメカニクスと運動機能の関係をインピーダンス調節の観点から解析し、マニピュレ-シュン作業における人間の制御方策を明らかにすることを目的としている. 本研究では、例としてボールや箱などを両手ではさんで運ぶような両手協調動作を取り上げた.この動作の場合、対象物の位置・姿勢を制御すると同時に、それらに加わる力(内力)も同時に制御する必要がある.特に、ボールのように変形する物体(ここでは、動的対象物と呼ぶ)の場合、そのインピーダンス特性に応じて手先・関節・筋のインピーダンスを適切に設定することが重要になる.この調節原理が筋の双線形モデルを組み込んだ協調制御モデルで説明できることを示した. 運動スキルの獲得は、環境変動に対応したフィードバック機構をおぼえることにあるのではなく、下位のサブシステム(筋骨格系+反射系)に新たな関係をつくることにある.学習初期のように、すべての関節を単純にかたくして力学的に自由度を下げるのではなく、運動インピーダンスを介して身体各部の間に新たな関係をつけることで結果的に自由度を削減している.すなわち、上位の中枢系からみれば、低次元のシステムモデルが獲得されたことになる.この運動インピーダンスの調節に筋骨格系のバイオメカニクス、特に筋の可変粘弾性が大きく寄与していることが示唆される.
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