研究課題/領域番号 |
06213237
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
小笠原 康夫 川崎医科大学, 医学部, 講師 (10152365)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
1994年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
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キーワード | 動脈硬化 / 内皮差異 / 共焦点レーザ走査顕微鏡 / 腎動脈 / 変性LDL / ストレスファイバ / 平滑筋 / 単球 |
研究概要 |
動脈硬化は局在化することが知られているが、その主原因として局所血流構造と内皮細胞の機能の関係が注目されている。本年度は、共焦点レーザ走査顕微鏡を用い、血流構造が異なる腎動脈分岐部頭側(動脈硬化好発部位)と尾側および腎動脈末梢部(動脈硬化非好発部位)におけるi)変性低比重リポ蛋白であるAc-LDLの血管壁内蓄積とii)血管内皮への単球の接着と壁内への侵入について観察した。観察像を画像解析して分布状況を評価・解析した。麻酔したWistar Ratに変性LDLとしてDiI-Ac-LDLを静注後、大動脈一腎動脈分岐部を3%パラフォルムアルデヒドで圧灌流固定した。内皮細胞内のストレスファイバをロ-ダミンファロイディンで、内皮細胞、平滑筋、単球の細胞核をビスベンジマイドで、二重染色した。血管を摘出して内腔側よりオプティカルセクショニングを行って壁微細構造、Ac-LDL-分布、単球を立体的に観察した。そして、血管腔内から血管壁内にいたるAc-LDLの観測画像を処理してAc-LDL濃度分布を求めた。動脈硬化の好発部位である大動脈一腎動脈分岐部頭側では、血管内皮細胞とその核の配向がランダムであり、ストレスファイバの発達が不良であった。これに対し、分岐尾側および腎動脈末梢では、細胞と核の形状がより楕円形で、血流方向に規則正しく配列しておりストレスファイバも良く発達していた、Ac-LDLは血管内皮から中膜まで分布したが、内皮内部の密度が高かった。また、好発部位のほうが非好発部位に比して全般にAc-LDL分布が高密度であった。単球は主として好発部位の内皮にクラスター状に接着し、さらに壁内へ侵入している像が三次元的に観察された。すなわち、局所血流の差異は、血管壁微細構造の差異を惹起し、さらに変性LDLの壁内動態や単球接着の差異などを介して動脈硬化の局在化につながると考えられた。
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