研究概要 |
本研究は(1)超臨界CO_2中について従来測定データの少ない、より低圧域、および高圧域での各種溶質のD_<12>の測定、(2)極性溶質についてD_<12>測定を中圧域で行い、トレーサー応答法による測定限界およびその精度の評価、(3)推算式・モデルについて推算精度を検討し、推算法の確立を目的とした。 超臨界溶媒としてCO_2とSF_6を、液体溶媒としてn-ヘキサン、シクロヘキサン、n-ドデカンを用いた。溶質として低圧域(15MPa以下)と高圧域(20MPa以上)で測定データの多いベンゼンとアセトン等を、また中圧域(15-20MPa)では単環芳香族類と脂溶性ビタミン類とを用いた。測定誤差の評価として誤差εの測定波長依存性、恒温槽中のカラム設置方向(水平、垂直)、トレーサー注入量の影響について調べた。 測定は313.2Kでの8.5MPaから30MPaにおけるCO_2中のベンゼンとアセトンのD_<12>を測定した。特に13MPa以下においては信頼できるデータがなく、この領域についてのD_<12>相関式を提案した。 313.2K,16.0MPaのCO_2中、および328.2K,14MPaでのSF_6中における各種ビタミン、不飽和脂肪酸誘導体を測定した。応答曲線がテ-リングしているのは溶質の極性のためと考えられている場合にも、溶質の低い溶解度のためにテ-リングが起こる場合があった。特にSF_6の場合、溶質がリノール酸メチルエステルの場合にテ-リングが認められたが、溶質注入量を減らした結果、左右対象の応答曲線が得られ、測定したD_<12>は溶媒自由体積による相関式により整理できた。 16.0MPaでn-ヘキサン、n-ドデカン、シクロヘキサン中における芳香族化合物についてD_<12>を測定した。溶媒自由体積による相関式でよくD_<12>を整理できたが、さらに溶媒粘度nによる式でも溶媒によらずこれらD_<12>を同じパラメーターで精度よく相関できた。
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