研究概要 |
1)成形体に欠陥が生じる原因の解明と最適操作条件の探索 シリカエアロゲルの製造法に関する工学的指針を得るために、試料にシリカアルコゲル,超臨界流体に二酸化炭素を用い、様々な大きさの試料に対して最適操作条件を探索した。加圧,加熱,流通,減圧,冷却の各段階での操作変数の値を種々変えて実験を行った結果、φ20×5mmの試料では3.5hで乾燥できたのに対し、φ26×20mmの試料ではその6倍の時間を要した。これは、試料が厚くなるとエタノールの拡散に時間がかかることと、試料内でのエタノールと二酸化炭素の濃度差が大きくなり試料に欠陥が生じやすくなるためであると思われ、これを避けるためには各段階での操作速度を小さくする必要があった。また、二酸化炭素の流通速度が大きくなるとセル内に二酸化炭素リッチ相とエタノールリッチ相の界面が発生し、これが欠陥の発生に影響していることが分かった。そこで、界面が発生しにくい実験条件を探索すると共に、状態方程式を用いて各成分の化学ポテンシャルを推算したところ、組成変化に対する化学ポテンシャルの勾配が小さい条件ほど界面が発生しやすいことが分かった。 2)超臨界疏水化処理の検討 エアロゲルの透明性等の特性を劣化する原因となるシラノール基を除去するため、超臨界乾燥後に高圧下でシランカップリングを行うことを試みた。4種類の疏水化剤を用い、40℃,16MPaの条件で2時間反応させることにより疏水化処理を行い、疏水化の程度を評価するために水分吸着量の測定を行った。この結果、ヘキサメチルジシラザンを用いて処理を行った試料の水分吸着量は未処理試料のそれに比べてかなり小さく、超臨界流体存在下での疏水化処理が可能であることが分かった。しかしながら、他の3種類のメチル-メトキシ系の疏水化剤で処理した試料ではほとんど疏水化が行われておらず、今後、反応条件について検討する必要があると思われる。
|