研究概要 |
新しい軽量耐熱材料を開発・設計する目的で,金属間化合物の物理的・化学的性質および相安定性を4名の分担により広く検討している.平成6年度の研究進行状況を以下に述べる. CrおよびMnを添加してL1_2型の結晶構造に制御したAI_3Ti基合金の相安定性を追求した。すなわち,L1_2型相が形成される合金組成ならびに温度を決定するとともに,凝固過程,他相(第二相)との相関系(状態図)などを明らかにした.この結果,合金組成を変化させ(高Cr,高Mnとする),熱処理温度を選ぶことによって延性が著しく改善されることを見いだした。(中山) DV-Xα分子軌道法を用いて,電子軌道の計算を行い,各種元素の特徴を表す2つの電子パラメータを求めた.そして,それらパラメータを使って,2〜3成分系化合物の構造マップを構築した.これらマップの有用性を調べるために,Mo-Si系化合物を用いて実験を行った.その結果,新しい構造マップは従来のものに比べて優れていることがわかった.(森永) 現象論的計算もしくは電子論に基づく計算から求めた相互作用エネルギーとクラスター変分法を組み合わせることで,Pt基の合金に出現する規則相の相安定性の計算を試みた.また,Cu-Au系に対する計算機シュミレーションから,局所緩和効果の導入が理論計算の定量的な改善をもたらすことを示した.(毛利) B2型およびL1_2の結晶構造を持つ計20種類の金属間化合物について,その熱伝導率を調査し,周期律表の観点から系統的に整理した。"構成元素が周期律表中で互いに近いほどその化合物の熱伝導率は大きい"という規則性がいずれの結晶構造においても成り立つことを明らかにした.(鈴木)
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