研究概要 |
我々の研究グループでは金属間化合物を,種々の材料の表面機能化のための材料として注目し,その成膜プロセスおよびその化合物膜の機能特性について研究した. Al基材上にAlとTiの混合粉末ベッドを作製し、その上からレーザを照射すること(レーザクラッディング)により金属間化合物厚膜を作製した。レーザ投与熱量を制御することにより基材との密着性が良く、しかも基材による希釈のない化合物膜を作製することができ,耐摩耗性を向上することができた。また,粉末ベッド中にセラミックス粉末を添加することによりIMC膜をも形成することができ,耐摩耗性もさらに向上した. 同様に,プラズマ減圧溶射法により軟鋼およびAl基材上にTiAl膜を形成した.溶射粉末にはTiAl化合物粉末だけでなく,TiとAlの混合粉末,TiとAlのメカニカルアロイング粉末を用いたところ,混合粉末では十分に反応し合わなかったが,他の2つでは緻密な合金膜が形成された.溶射膜の組織は,冷却速度が速いため結晶粒度は1μm以下と非常に微細で,しかも溶射条件によってはα_2相が準安定的に形成した.得られた表面層の硬さは600Hvと高い値を示し,摩耗特性も優れたものであった. 将来,得られた金属間化合物膜をセラミックスとの複合化したものにすることにより,更に優れた特性をもつ合金層を形成することを目的としているが,その基礎的データとして,TiAlとTiB_2のバルクの複合材料をプラズマアークにより作製し,セラミックスの添加量と強度の関係を調べた.マトリックスの組成をTi-32,34,36mass%AlにしてTiB_2添加量を変化させたところ,TiB_2初晶の量が増加するとともにマトリックスが微細化し,その引張強度は上昇した.現在、TiB_2初晶と凝固終了後に析出したTiB_2の組織,さらにはマトリックスとの界面等を観察中である.
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