研究課題/領域番号 |
06216204
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
山谷 和彦 北海道大学, 工学部, 教授 (80002054)
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研究分担者 |
岡島 吉俊 広島大学, 工学部, 助手 (00213934)
芳賀 哲也 北海道大学, 工学部, 助手 (00113605)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1994年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | 酸化物高温超伝導体 / スピンギャップ / フォノン異常 / イオンチャネリング |
研究概要 |
“90K"YBa_2Cu_3O_y(YBCO)単結晶体に加えて、“60K"YBCOにおいて、チャネリング最小収量値X_<min>の温度依存性を測定した。前者はスピンギャップ形成温度Tsg(100-130K)と超伝導遷移温度Tc(〜90K)が近い結晶であり、後者ではTsgはTcより2倍程度高い(〜150K)結晶である。チャネリング測定で得られたフォノンの特徴を以下に要約する。 (1)T>〜130K;“90K"YBCO、“60K"YBCOともに、130K以上の常伝導状態のX_<min>は構成原子によらず、すべて温度の減少と共に減少した。即ち、振動振幅が温度と共に小さくなり、その振る舞いはデバイモデルで説明出来る。 (2)130K>T>Tc;この温度領域では、“90K"YBCO、“60K"YBCOともにX_<min>の温度依存性は大きな異常を示した。特に、O原子のX_<min>は120-130Kから温度の減少と共に大きく減少し、およそ100Kで最小値を示し、Tcを目指して急激に上昇する、“V字的"な振る舞いを示す。又、Cu原子のX_<min>はO原子の振る舞いと符号するように増加一減少する“こぶ"状の異常を示す。これら異常が出現する温度は“90K"と“60K"YBCOでほぼ同じである。即ち、Tc依存性は見られない。一方、BaとY原子のX_<min>はTcまで単調に減少し、大きな異常は観測されない。 (3)T【similar or equal】Tc;“90K"YBCOのCu、O原子のX_<min>は両者ともに増加した。しかし、“60K"YBCOのCu原子のX_<min>は増加するが、反対にO原子のX_<min>は減少した。Tcでの異常は必ずしも同じではない。 以上のように、“90K"、“60K"YBCOのフォノン異常はTcとTc以上の二種類に分類される。(i)Tcでのフォノン異常は超伝導と直接関係した効果、即ち、電子一格子相互作用で説明できそうである。ポーラロンモデルのように、電子対形成に格子効果が露に関与している可能性もある。(ii)Tc以上のフォノン異常はTsgに隣接して出現しているため、スピンギャップ形成に格子効果が露に関与している可能性が高い。二つのフォノン異常の関連性が、今後の研究課題である。
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