研究課題/領域番号 |
06216227
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松川 宏 大阪大学, 理学部, 助教授 (20192750)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1994年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 銅酸化物 / 超伝導 / 磁性 / 有効ハミルトニアン / t-Jモデル / RVB / d-pモデル |
研究概要 |
銅酸化物における高温超伝導の発現機構を明かにするには、この物質の反強磁性相や常伝導相まで含めた相図全体の統一的な理解が必要である。そのためにはこの系の低エネルギー励起を記述する最も適切な有効ハミルトニアンから出発するのが適当である。そのようなモデルとして2次元t-Jモデルが研究されることが多い。このモデルから出発するスレーブボソン平均場理論は、酸化物高温超伝導体の多くの性質を説明するのに成功したが、また幾つか実験と矛盾する結果を導く事も明らかになった。ところで、単一バンドハバ-ドモデルから、オンサイトクーロン斥力が大きいとして、1つのサイトを2つ電子が占める2重占有状態を排除し有効ハミルトニアンを導くと、良く知られたようにt-Jの項の他にスピンに依存した3-サイトホッピング項が現れる。p-型の銅酸化物の場合、微視的なモデルはd-pモデルと考えられるが、我々は、これから有効ハミルトニアンを導いても、同様のスピンに依存した3-サイトホッピング項が現れ、その係数は前者の場合と逆に強磁性的になることを示した。この項が物理的性質にどういう影響を及ぼすかを明らかにするため、さらに、t-J+3サイト項モデルから出発し、スレーブボソン平均場理論の計算を行った。1重項RVBオーダーの転移温度T_<RVB>は強磁性的な3サイト項により大きく増強される。また、s及びs+idの対称性のオーダーよりも常にd-波のRVBオーダーの方が安定である。3サイト項の影響によりT_<RVB>が変わることにより、帯磁率の温度依存性も温度スケールが変わる。このように、モデルの物理的性質は3サイトホッピング項の影響により大きな変更を受ける。理論と実験との定量的比較の際には、この項の効果は無視することは出来ないであろう。また、この項の効果としてホール系と電子系の物性の違いを説明できる可能性もある。
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