研究課題/領域番号 |
06216231
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
浴野 稔一 広島大学, 総合科学部, 助手 (40185103)
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研究分担者 |
高畠 敏郎 広島大学, 総合科学部, 助教授 (40171540)
藤井 博信 広島大学, 総合科学部, 教授 (30034573)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1994年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | トンネル分光 / 高温超伝導体 / エネルギーギャップ / ギャップの対称性 / S波超伝導 |
研究概要 |
高温超伝導体のク-パ-対の対称性を決定することは発現機構の解明にとり極めて重要である。本研究では低温破断接合によるトンネル測定を行った。これは清浄な接合表面が得られ表面が化学的に不安定な銅酸化物に対して特に有効である。先ず、YBa_2Cu_3O_7でギャップ内で漏れ成分の無いスペクトルが頻繁に得られた。これはク-パ-対がs波の対称性を持つことを示す。トンネルコンダクタンスのピーク間隔によるエネルギーギャップは最大で2Δ_<p-p>=70meVとなった。しかし最良のデータでもBCSギャップに比べるとブロードである。BCSギャップ関数のGauss分布及び温度因子を取り入れて実験データのfittingを行った結果、ギャップの分析を17-71meVとしたときに実験値と計算値とは良く一致した。La_<1.85>Sr_<0.15>CuO_4単結晶でもs波的なデータが得られた。a軸方向の測定では4Δ_<p-p>=54meVとなり、b及c軸方向では36-54meVとなった。Nd_<1.85>Ce_<0.15>CuO_4で多結晶では4Δ_<p-p>=25meVであるs波的なギャップが得られた。各物質のΔ_<p-p>の最大値にはT_cに比例しており、得られたトンネルスペクトルが本質的であることを示す。得られたs波的なスペクトルについて、それがトンネル電子の指向性が鋭いためにd波の対称性を持っていても、その特定の方向のみを見ている、とする見解がある。実際、d波の対称性で指向性を考慮した計算結果ではギャップが最大値をとる方向ではBCS的ギャップ構造を示す。しかしギャップ構造は実測データが計算値よりも急峻であるにも拘わらず、ギャップ端のぼやけの程度は実測データの方が大きく、両者は一致しない。s波的なギャップ構造が実際に如何なる波数空間分解能を持つ接合条件で観測されているのかについて更に詳細な研究を現在進めている。
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