研究課題/領域番号 |
06216235
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
笛木 和雄 東京理科大学, 理工学部, 教授 (80010750)
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研究分担者 |
井手本 康 東京理科大学, 理工学部, 講師 (20213027)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1994年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | 絶縁体-金属転移 / 不定比酸素 / Bi_2Sr_2Y_<1-x>Ca_xCu_2O_y / 過剰酸素量 / ヨードメトリー / PrBa_2Cu_3O_y / アクセプタ準位 / 価電子帯 |
研究概要 |
1.高温超伝導酸化物の絶縁体-金属転移 高温超伝導酸化物では不定比酸素が導電や超伝導発現に大きな役割を占める。絶縁体-金属転移にも不定比酸素が本質的役割を果たすことを明らかにするため、Bi_2Sr_2YCu_2O_yのYの一部をCaで置換したBi_2Sr_2Y_<1-x>Ca_xCu_2O_y(x=0〜1まで0.1ステップで組成を変えてある)を合成し、過剰酸素量Δy=y-y_0(yは酸素分析値、y_0はBiが+3価、Cuを+2価として計算によって求めた酸素量)をヨードメトリーで決定し、抵抗率測定値から100K,250Kの導電率σ_<100>'σ_<250>とTcを求めた。種々のxについてlogσ_<100>'logσ_<250>をΔyに対してプロットすると、logσ_<100>'logσ_<250>はΔyの増加とともに増加し、極大を経て減少する。xが増す程Δyもlogσも大きい方にシフトし、導電率の変化は7桁にも達することが明らかになった。更に、x<0.6ではσ_<100><σ_<250>で半導体的であるが、x>0.6ではσ_<100>>σ_<250>となって金属的となり、金属的となる領域でTc=0すなわち超伝導が観測されることを明らかにした。これより、高温超伝導酸化物の絶縁体金属転移は不定比酸素によって決まることが解明された。 2.PrBa_2Cu_3O_yが超伝導とならない原因の究明 YBa_2Cu_3O_y及びYを希土類元素で置換した123相はTc=90Kの超伝導を示すが、Prのみは超伝導を示さず、多くの研究者によって原因究明がなされているが、未だはっきりしない。yの異なるPrBa_2Cu_3O_yについてy一定の状態で低温かつ高温まで導電率を調べた所、高温域ではYBa_2Cu_3O_yと導電率は変わらないが、400℃付近以下では、導電率は温度の低下とともに急速に低下し、YBa_2Cu_3O_yとは全く異なることが見出された。これはYBa_2Cu_3O_yでは過剰酸素によって形成されるアクセプタ準位が価電子帯とオーバーラップするのに対し、PrBa_2Cu_3O_yではアクセプタ準位と価電子帯頂点は数meVから数十meVのギャップを生じ、低温でキャリヤ密度が著しく低下するため、超伝導とはならないと結論された。
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