研究概要 |
1.アルキル,アリール,アルコキシ配位子を有する遷移金属錯体による二酸化炭素固定 エチル基、フェニル基等を有するニッケル錯体が二酸化炭素と反応してカルボキシラト塩、ケトンなどを与えることを見出した。カルボキシラト塩はさらに塩化水素と反応することによりカルボン酸を与える。これらの反応はニッケル-炭素結合中に二酸化炭素が挿入して進行すると考えられ、アリールニッケル錯体との反応においてはアリール基の電子供与性の効果が確認された。また、この反応はアリールニッケル錯体の不均化反応と競合するため,錯体の濃度が低いほど高選択性で進行することが見出された。さらに,銅アルコキシ錯体が二酸化炭素と反応してカルボナト錯体やハイドロジェンカルボナト錯体を与える結果を発展させるため、種々銅アルコキシ錯体の反応解析、構造解析を行った。これらの結果は二酸化炭素の電解固定と関連があると考えられる。 2.導電性配位子を有するニッケル錯体による二酸化炭素の電解還元 ポリ(2,2-ビピリジン-5.5-ジイル)などの導電性配位子を持つニッケル錯体は、電気化学的に還元されるが,この時この還元を二酸化炭素存在下に行うと、還元電流の増大を伴いながら二酸化炭素がCOに還元されることを見出した。また、ポリキノリン等の他の導電性高分子についてもニッケル錯体を合成した。
|