溶液中の拡散によって起こる2次反応は化学において基本的に重要な課題である。従ってその研究は古くから行われ、1910年代のSmoluchowskiの研究にまで逆上ることができる。それ以来この反応の多くの側面が明らかにされてきた。しかし2次反応の一般的な場合における速度定数の厳密でしかも(誰でも簡単に計算できる程度に)便利な表式はまだ得られていない。 このような要請を満たす2次反応速度定数の一般式を厳密に証明した。この式はFredholm第2種積分方程式を解くことにより計算できる。積分方程式は、連立一次方程式を拡張して考えると、(連続変数の値で指定される)連続関数の値を未知数とする連立一次方程式である。計算機で実際に計算するときには、連続変数を離散化近似する必要があり、このときには積分方程式は実際に連立一次方程式で近似される。従って、積分方程式の解を計算機で求めのは非常に簡単である。この新しく発見された方法に対して2次反応速度定数を求めるための従来の方法は、2次の常備分方程式を数値的に解くことによるものであり、計算誤差が非常に入り易いものであった。連続変数を離散化近似するとき、積分は関数値の和で近似されるのに対し、2次微分は関数値の2重差分でしか近似できないからである。従ってこの新しい方法は、今後広く使われるようになると予測される。
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