研究概要 |
散在型単純群モンスターMを全自己同型群として持つVertex Operator Algebra(頂点作用素代数)であるモンスター代数Vについて,特に,その部分代数に作用する有限群について研究を行った。その過程の副産物としてLeech latticeとNiemeier latticesに関する興味深い関連を発見した。 最近の宮本の結果によれば,Vのidempotents xと1:1に位数2の自己同型τ_xが対応している。さらに,このτ_xが自明に作用する部分代数を考えると,その上に作用する新たな位数2の自己同型σ_xを構成することができる。本研究では,Mの基本可換部分群Eに対し,その固定点のなす部分代数V^Eへ作用するσ_x(x∈V^E)達の生成する群Σ(E)について調べ,特に,EがMの2B-involutionの中心化群の正規2-部分群に含まれる場合について次のような結果を得た。 (定理1)Σ(E)は同型を除いて23通りに分類され,その中心による剰余群は24次元のルートを含む23通りのeven unimodular lattices(Niemeier lattices)のルートに関する鏡映の生成する群の中心による剰余群と同型である。 前記の条件を除いた一般のEについては現在研究中である。定理1は,Leech latticeとNiemeier latticesに関する次の定理からの帰結である。 (定理2)任意のNiemeier lattice Nに対し,Leech latticeの部分latticeで,√<2>Nと同型なものが存在する。 この包含関係の一つの場合であるN【similar or equal】(E_8)^3の場合は,Lepowsky-Meurmanの"E_8-approch to the Leech lattice"として知られていたものである。定理2はNiemeier latticesの具体的な存在証明を含んでおり,定理1との関係だけでなく,それ自体で興味深いものであると思われる。
|