研究概要 |
代数幾何学の研究において、ベクトル束の研究は古くはTangent束やNormal束の研究から始まり、大きな役割を果たしてきた。最近でも、代数多様体の分類理論や、Moduli問題においても盛んに研究されている。射影空間上の低階数の不分解ベクトル束についても射影空間の低余次元の部分多様体との関連づけながら盛んに研究されている。 n次元射影空間上の階数rの不分解ベクトル束についてはr【greater than or equal】nのときには多く存在することがしられているが、n【greater than or equal】4,2【less than or equal】r【less than or equal】n-1のと その中の有名なものはn=4,r=2のMumford-Horrocks束、n=5,r=3のHorrocks束,n=5,r=2(標数2)のTangoの例である。Tangoの例の研究からσ-Transition matricesを発見したが、Horrocks束もσ-Transition matricesをもつことが分かり、さらに楫氏の研究によりMumford-Horrocks束もσ-Transition matricesを持つことが報告された。σ-Transition matricesの研究を単に射影空間上ではなくGrassmann多様体の特殊な部分多様体の上にも広げて研究を行い、その性質を調べた。その結果、Grassmann多様体の幾つかの部分多様体の幾何学的構造が明らかになった。
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