研究課題/領域番号 |
06222209
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
深尾 良夫 東京大学, 地震研究所, 教授 (10022708)
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研究分担者 |
阿部 豊 東京大学, 理学部, 教授 (90192468)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1994年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | マグマ溜まり / 数値流体実験 / 混相流 / 気泡対流 / プリューム / 非線形物理 / 安定性 / 重力文理 |
研究概要 |
微粒子(気泡や斑晶)とマグマの重力分離の素過程を取り入れたマグマ対流モデルの(大型計算機による)大規模数値流体実験を行った。今年度の実績は、1)精度のよい非線形数値計算のための新しいコーディングを行った、2)マグマ溜まりの底で気泡が発生・上昇した場合に引き起こされる流れについて様々なパラメーターを変えながら数値実験を行った。特に注目して調べた点は、(1)流体系の下部境界で気泡濃度擾乱があることが、流れの持続発展にどう影響するか?(2)気泡とマグマの重力分離の(ミクロな)速度が、マグマ流れの(マクロな)速度にどう関係するか?特に上昇する気泡の浮力によってマグマ対流が自己励起的に持続発展する物理条件は何か?(3)励起されるマグマ対流のパターンは気泡半径やマグマの粘性率とどう関係しており、マグマ混合・分化様式とどう関わっているか?、についてである。 実験の結果、明らかになったことは以下の通りである。(1)対流の持続発展への必要条件:気泡対流が持続発展するためには、底部での気泡の不均質発生が必要で、その場合まず上下の密度差に伴うレイリー・テイラー不安定がトリガーとなり、その後は水平方向の密度差が有効に働いて流れが持続する。(2)気泡の分離速度(ミクロな速度Q)が大きい場合には対流は起きないが、速度が遅くなるとQ以上の流れ(マクロな速度V)が周囲のマグマに励起される。流れの持続発展およびそれに伴う効率的なマグマ混合が促進されるのは、1<V/Q<10の状態である。またその物理条件をQとグラショフ数Gとの関係で示した。V/Q>>10の状態では、もはや個々の気泡の浮力は働かず、気泡を多く含んだマグマはプリュームとなって間欠的にマグマ溜まり中を上昇していく。この場合には比較的不均質なマグマ混合・分化が起こると期待される。(3)流れのパターンと無次元数の関係から、例えば深さ1kmのマグマ溜まり、マグマの粘性率10Pas、密度3g/cm3なら気泡半径が約0.04mの狭いパラメータ領域で対流が持続する。 なお本研究成果は、マグマ国際シンポジウム・日本火山学会・地震研究所研究集会にて発表した。
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