研究課題/領域番号 |
06222218
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
佐藤 博樹 岡山大学, 地球内部研究センター, 助手 (50215828)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1994年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 弾性波速度の測定 / 岩石の速度異方性 / かんらん石の選択配向 / パルス透過法と反射法 / 地震波の減衰 / 部分溶融 / 温度構造 / 東北日本上部マントル |
研究概要 |
ピストンシリンダー型高圧発生装置を用いて、高圧下における岩石の弾性波速度測定手法を確立した。高圧下における速度の測定精度を向上させるため、本研究の補助金によって、新たに、パルス透過法と反射法の両手法が行える測定機器を開発し、また、サンプリングレートの速い(1Gサンプル/秒)ディジタルオシロスコープを購入した。面構造の見られる日高変成帯のはんれい岩とかんらん岩について、弾性波速度を0.4から1.3GPaの高圧下で実測した。測定は面構造に平行で速度の速い方向と、面構造に垂直な方向について行い、測定精度を±0.7%まで向上させることができた。面構造の発達しているかんらん岩について、高圧下で7〜8%の速度異方性が認められた。一方はんれい岩の速度異方性は2%以下であった。かんらん岩については面構造とほぼ平行にかんらん石のa軸の選択配向が認められ、測定された速度異方性の原因となっていることが判明した。はんれい岩の速度異方性が小さいのは、その主要構成鉱物である斜長意思と単斜輝石が選択配向をあまり示していないことと調和的であった。 また本年度は、東北日本上部マントルのマグマ発生域における温度構造と、それから推定される地震波の減衰の可能性についても研究を行った。火山フロント直下の最上部マントルで2〜3%の部分溶融が期待され、温度は40、65、90kmの深さでそれぞれ1270、1360、1460℃であった。このように高温の部分溶融領域の存在が、島弧上部マントルにおける地震波の減衰を引き起こしていると考えられる。背弧側80kmほどの深さでは2つの大きな高温領域がみられ、それがさらに浅部で細かく枝分かれし、東北日本の火山直下まで上昇している様子が認められた。メルトを含む領域は、数十kmほどの大小のダイアピルのようなかたまりとなってマントルウェッジ中深部に沿って存在し、マントル深部からの高温の上昇流の中に局在する部分溶融塊が、島弧の火成活動を引き起こしていることが認められた。
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