研究課題/領域番号 |
06224226
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
中嶋 敦 慶應義塾大学, 理工学部, 専任講師 (30217715)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1994年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 炭素クラスター / 二成分クラスター / シリコン原子 / レーザー蒸発法 / 硫黄原子 / 相変化 / 光電子スペクトル |
研究概要 |
炭素クラスターは直線構造や環構造を取ることが知られ、この環構造の変形が3次元フラーレン構造への成長の鍵を握っていると考えられている。一方、シリコン原子は数原子程度のサイズから3次元構造をとり、この構造の違いが炭素-シリコンの二成分フラーレンがこれまで生成できていない理由であると考えられている。本研究では、異原子の混ざったフラーレンの生成方法を提案するために、炭素クラスターに硫黄原子またはシリコン原子を混ぜその生成機構を調べた。 硫黄やシリコンなどを混ぜた炭素クラスターを生成させるために、試料粉を混ぜて棒状に成型し、これをレーザー蒸発法させる方法を開発した。このため、成型用のダイスとパルスノズルを本研究費で購入した。また検出感度を向上させるために高い電圧の加速電源とマイクロチャンネルプレートを本研究費で新たに購入した。この結果、炭素-シリコンクラスターを様々な組成で生成させることができ、炭素クラスターの異性化(相変化)が追跡できた。また、硫黄元素を含むクラスターでは、CnS(n=3‐5)は生成できたものの、本方法では生成機構の追跡には限界があることが分かった。以下に、炭素-シリコンクラスター負イオンの光電子スペクトルの結果について述べる。 Si原子だけのクラスターの光電子スペクトルとC原子が1個混ざったクラスターの光電子スペクトルとを比較すると、総原子数を同じにして見るとスペクトルの特徴(ピークの形状や本数など)がよく似ていた。これはSinクラスターにC原子を混ぜるとその1個目のC原子はSi原子のように振舞うことを示している。一方、CnクラスターにSi原子を混ぜると、直線構造と環構造とに由来する光電子スペクトルが得られ、シリコン原子によって炭素クラスターの環構造への異性化が促進されることがわかった。したがって、シリコンを含む二成分フラーレンの生成では炭素のかご構造の形成の終結期にシリコン原子を混ぜる必要があることが、本研究からわかった。
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