研究概要 |
本研究の実績を以下に要約する. 1.光学活性ジオキシノン体は従来キラリティーの移動またはジアステレオマ-分離法により合成されてきた.今回,プロキラルなジオール体(1)の酵素化学的不斉化により,2及び3の触媒的不斉合成に成功するとともに3型化合物を用いる各種化合物の不斉合成法を開発した. 2.2位に種々の置換基をもつキラルジオキシノン体(4,5)のエナンチオ選択的合成法を確立し,れらの配座(X線解析),及びπ面選択性に及ぼす2位置換基効果を解明した.また,ジオキシノン体の4,5,6位sp^2炭素が立体電子効果によりピラミッド化すること,π面選択性に及ぼす立体電子効果(Cieplak効果)の関与も明らかにした. 3.キラルなジヒドロピロン体(6〜8)の簡便なエナンチオ制御合成法を開発し,これらの配座(X線解析)及び高いπ面選択性を解明した.同時に6,7のπ面選択性はジオキシノン体の場合と同じ立体電子効果により支配されることを明らかにした. 4.エノンを内蔵するキラルな複素7員環化合物(9,10)の配座(X線解析)とπ面選択性(共役付加:anti;Diels-Alder反応:syn)を初めて明らかにした.
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