研究概要 |
筆者等はイミンに対する立体選択的な求核付加反応による光学活性なアミンの合成法として今回イミニウムの分子内アルキル化反応の例として、トリプタミン誘導体の不斉Pictet-Spengler(P-S)反応を検討した。さらに、新規ボラン試薬によるイミンの不斉還元についても検討した。 I.トリプタミンのPictet-Spengler反応 1.不斉補助基を有するトリプタミンのPictet-Spengler反応 インドールより数工程で得られるNb-置換トリプタミン1とベンツアルデヒドとのP-S反応を、種々の酸を用いて検討したところ、テトラヒドロ-β-カルボリン(4a+5a,71%)がジアステレオマ-比86:14で得られた。生成物の立体構造は5aのX-線構造解析によって確認した。一方、種々のLewis酸による反応も検討したが選択性の向上はみられなかった。次にイミニウム塩における対イオンXの影響をみる目的でキラルな酸によるP-S反応を検討したところ、高収率で-β-カルボリンが得られたが、不斉誘導は殆どみられなかった。他のアルデヒドと1とのP-S反応(PhH,TFA)を検討した。脂肪族アルデヒド2d^-2fとの反応も高収率で進行したが選択性は低い。 2.ニトロン誘導体9のPictet-Spengler反応 ニトロン9の種々のLewis酸(BF_3・OEt_2 98%,B(OPh)_3 27%,Yb(OTf)_3 0%,Eu(hfc)_3 0%,ZnCl_2 20%)による環化を検討した。マンニトールより合成したキラルボラン試薬によるイミンの還元も検討し、55%eeの不斉誘導が得られた。
|