研究課題/領域番号 |
06225218
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
磯部 稔 名古屋大学, 農学部, 教授 (00023466)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1994年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | ヘテロ共役付加 / 高選択的立体制御合成 / 疑似エナンチオマー / ト-トマイシン / アセチレンコバルト錯体 / エンジイン |
研究概要 |
生体に応答する分子は、精密構造認識に基づく情報伝達機能を果たすための特定の立体化学、特に絶対配置をもつキラル分子が殆どである。本研究ではこれの分子を標的とした化学合成の基盤をつくるため、炭素・炭素結合形成反応を中心に不斉合成をより簡便かつ選択的に行う方法論を確立し、またキラル分子を実際に合成することを目的としている。 本年度は、不斉合成方法論の開発について昨年度から行ってきたものを完成させた。すなわちヘテロ共役付加反応に於ける、疑似エナンチオマーの制御切り替反応を確立し、これを実際に天然物ト-トマイシンのセグメントC合成に適用しその完全立体制御合成に成功した。方法論は、ピラノース糖質誘導体に、フェニルチオアセチレン基を導入したあと、3重結合をジコバルト錯体として酸性条件下で異性化し、さらにヒドロシリル化とスルフォニルへの酸化で求電子基の準備とした。選択方向の切り替反応には、アルファーキレーションとベータ-キレーションを、保護基を用いる場合とキレートする金属種を変える場合といづれでも効率良くすることができた。基本となる4種類のエナンチオマーが自由に合成できる。これを実際に、ト-トマイシンのサブセグメントおよびその非天然型3種類の立体異性体合成に適用して完成した。 一方、アセチレンを分子の小員環の中に含んだ天然物として、10員環エンジインである抗ガン抗生物質ダイネミシンのコアー部分を合成した。これはビシクロ[7.3.1]型の特徴を備え、歪みのある環をもっているので、閉環反応には工夫が必要である。シリルアセチレンを反応中にセシウムアセチリドとし、この金属をカルボニルの酸素原子に配位して一旦疑似12員環中間体としてから10員環エンジイン閉環するもので、直裁的合成方として評価できる。
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