研究概要 |
側鎖にカルボキシル基を有するBHMP類がパラジウム錯体触媒を用いる不斉合成に有効的であることがわかったため、今回我々は、さらに同じπ-アリルパラジウム中間体を経て反応について検討することとした。そこで、生理活性物質として有用であるmorphorin,piperazine類のone-pot不斉合成を行った。アルゴン気流下、Pd(0)と不斉ビスホスフィン配位子とで調製したTHF溶液中、Et_3N,1,4-diacetoxy-cis-2-butene(1)と2-benzylamino)ethanol(2)とを加え反応を行った結果、2-Vinylmorphorineの不斉合成に於いては選択性を最高83.2%eeにまで向上することに成功した。また同様に2-Vinylpiperazineについても検討した結果、選択性を41.6%eeにまで向上することに成功した。(Scheme1)これは、側鎖のカルボキシル基と求核剤との相互作用により、選択性を獲得したものと考えている。一般にヘテロ環構築の不斉合成は難しいとされており、側鎖の官能基の効果を利用して選択性を獲得した例は、今回我々が初めてである。現在、他のヘテロ環の不斉合成についても検討している。
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