研究課題/領域番号 |
06225231
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
植村 元一 大阪市立大学, 理学部, 助教授 (90047241)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1994年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | アレーンクロム錯体 / 面不斉 / アトロプ異性 / 不斉触媒 / 配位子 / クロスカップリング / オルトリチオ化 |
研究概要 |
光学活性(アレーン)クロム錯体を合成する方法として、フェノールを適当な官能基でマスクした対応するクロム錯体で、キラルな塩基をもちいてエナンチオトピックな二つのオルト位を区別してリチオ化し、次いで親電子試薬を反応させオルト二置換(アレーン)クロム錯体を光学活性体として得た。保護基としてはスピロ環を有するカルバメートを、また、キラル塩基としては1,2-ジフェニルエチレンジアミンテトラメチル体を用いた時、最も高い光学純度が得られた(up to 82%ee)。同様にアニリン誘導体のクロム錯体でも、エナンチオトピックなオルトリチオ化で(オルト置換アニリン)クロム錯体を光学活性体として得た。 アトロプ異性をもつビアリール化合物は不斉触媒の配位子、生物活性天然有機化合物等に注目されている。その立体選択的な合成法の開発を目指して、(アレーン)クロム錯体とオルト置換フェニルホウ酸とのクロスカップリング反応で得られたビフェニル体の立体化学を検討した。フェニルホウ酸のオルト位の置換基がホルミル基の時は、ホルミル基とクロムが反対側を向いたビフェニル体のモノクロム錯体のみを、一方、オルト位の置換基が他の官能基の時は、その置換基とクロムが同じ側になったビフェニル体のみが得られた。立体選択的なビフェニル誘導体を与えるこの反応の機構を詳しく検討し、クロスカップリング反応で生成した化合物を、熱的な条件下、あるいはオルト位の置換基の嵩高さを減少させることで、熱力学的に安定なビフェニル体に変換することができた。上記の反応を利用して、同一の面不斉をもつ光学活性(アレーン)クロム錯体より、ビフェニル体の両エナンチオマーを光学活性体として合成することに成功した。更に、この立体選択的なビフェニル体の合成法を生物活性を有する天然有機化合物の全合成に利用すべき検討を行っている。
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