研究課題/領域番号 |
06225237
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
竜田 邦明 早稲田大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (40051627)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1994年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | テトラサイクリン / 不斉全合成 / 不斉マイケル / 糖質 / 分子内環状付加 |
研究概要 |
テトラサイクリン系抗生物質は、四大抗生物質の一つとして非常に広く実用されたが、有機合成化学的にも、その構造の複雑さもあって、はやくから注目され、1962年のR.B.Woodwardらの最初の全合成以来、数グループがその全合成に成功している。しかし、それらの全合成はすべてラセミ体の合成であり、天然型の光学活性体の全合成は、形式全合成を含めていまだに報告されておらず、困難とされてきた。そこで、本研究の主目的は、代表物質であるテトラサイクリンの光学活性体の不斉全合成であり、そのための方法論の開発にある。糖質を不斉炭素源として用いる経路1と、不斉マイケル付加反応を鍵反応として用いる経路2の二つの合成経路を検討した。経路1(A環+CD環)として、まず、CD環ユニットの合成を行った。1,5-ジヒドロキシナフタレンに安息香酸を作用して得られるキノン誘導体を還元および臭素化して後、MeMgBrを反応させ、酸化、芳香族化、イソプロピリデン化などを経て、CD環ユニットに相当するブロモナフタレン誘導体を得た。つぎに、A環ユニットの合成を行った。D-マンノースから得られる分枝糖質を経てオレフィンを有するオキシムを得た。これを、相当するニトリルオキシドに導いて後、オレフィンとの分子内〔3+2〕環状付加反応を立体選択的に起こさせて、シクロヘキサノール誘導体を得た。これを、さらに、ポリヒドロキシ体を経て、A環ユニットのアルデヒド体に導いた。上述のCD環ユニットのリチオ体との反応により相当する結合体が得られた。別に、経路2(光学活性ニトロ酢酸エステル+BCD環)として、Gurevichらの方法に従って合成されたBCD環ユニットにニトロ酢酸の種々の光学活性誘導体をマイケル付加させた。その結果、ニトロ酢酸の(+)-8-フェニルメントールエステルが比較的有効な立体選択性を与えた。そこで、三級水酸基を脱水し、ニトロ基を還元してアミノ体を得た後、相当するフタリミド体に導いた。その主生成物は、X線結晶解析により、予想通り、天然型の絶対配置をもつことが判明した。
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