研究概要 |
本研究では、最近、紅海産あるいは沖縄産海綿より単離されたスウインホリド系天然物の全合成研究を行なう。本系天然物としてスウインホリドA〜G、ビステオヘリド類、サイトファイシン類が知られており、それらはいずれも顕著な抗腫瘍活性を有し、合成化学的にも薬理学的にも極めて興味深い化合物である。これらスウインホリド系天然物の応用性の高い合成法の開発を目指し、まず44員環2量体マクロリド、スウインホリドAの全合成を目的とする。 すでに超高圧下でのニトロアルドール反応,左右対称分子の左右保護基の選択的除去,C20-メチル基の立体選択的導入等をへて,C11-C23セグメントおよびC24-C32セグメントを合成し,両者のアルドール縮合によりC11-C23部に相当する縮合体の立体選択的合成を達成した。本年度は重要合成中間体である左右対称ケトンをC16-水酸基を有する各種誘導体に導き、ジボラン還元すると位置及び立体選択的に左右保護基を区別して除去でき、サイトファイシンA〜E等の他の類縁天然物に存在するエポキシ基,ヒドロキシメチル基等に立体選択的に変換するルートの開発に成功した。これらは、コンピュータ化学計算の予測とほぼ一致する結果を得ることが出来た。また、C11-C32部のより効率的合成を目指してSharplessのエポキシ化、パラジウム還元を基盤とした別途合成を検討した。
|