研究課題/領域番号 |
06226207
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
板谷 謹悟 東北大学, 工学部, 教授 (40125498)
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研究分担者 |
指方 研二 東北大学, 工学部, 助手 (60261608)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1994年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 単結晶電極 / Au(lll) / Pt(lll) / 電気化学STM / 酸素還元 / UPD / DEMS |
研究概要 |
本年度は、溶液中の酵素分子の白金及び金(lll)単結晶電極表面上での還元機構、更には銅原子で修飾されたこれらの単結晶電極上での還元機構について解析を進めた。電気化学測定は、おもにHanging Meniscus Rotation Disk(IIMRD)電極法で行った。構造解析は本研究室で開発した電気化学STMを用いて行った。 0.05MH_2SO_4+5mM CuSO_4水溶液中、Au(lll)にCuをUPDした場合、第1波後に(【square root】3x【square root】3)R30°構造が観察されている。溶液中にCu^<2+>を含まない場合、Au電極上での酸素還元は約0.7Vから開始するが、これは金表面の2原子吸着サイトから1分子のH_2O_2を生成する2電子還元反応が進行すると考えられている。一方、溶液にCu^<2+>が共存する場合、酸素還元はほぼ完全にブロックされた。Au上での酸素還元反応では、お互いに隣接した2つのAu原子が露出していなければならないが、CuがUPDして(【square root】3x【square root】3)R30°構造を形成すると、このサイトがブロックされるために酸素還元が妨げられたと考えられる。 酵素飽和した0.05MH_2SO_4溶液中でのPt(lll)電極による酸素還元電流は、0.9V付近から立ち上がり始め、約0.5Vで限界電流値の2mA・cm^2に達した。定常電流曲線に現れた限界電流値から、反応電子数は、3.8±0.1であった。この値は酸素還元が次式に示すように4電子移動で進行する場合の反応電子数にほぼ一致する。 O_2+4H^++4e^-【double arrow】2H_2O Pt(lll)上への水素吸着は、約0.6〜0.36Vの強吸着水素領域と0.36〜0.05Vの弱吸着水素に分けられるが、酸素還元反応は強吸着水素が表面に存在しても阻害されないことがわかった。Cu^<2+>が共存する場合、酸素還元電流は0.68 VまでCu^<2+>を含まない場合と一致しているが、UPD第1波目のピークを過ぎると減少し、Cuが存在しない場合の約1/2になった。さらに、UPDの第2波目を過ぎると酸素還元は完全にブロックされた。これは電極表面にCuが析出したことで、酸素還元の機構に変化が生じたためであると考えられる。電気化学STMによる吸着Cu原子層の構造解析の結果では、UPDの第1波と第2波の間の領域で(【square root】3x【square root】3)R30°構造が観察されている。銅原子は表面に均一に分布し、表面白金原子とともにアンサンブルを形成する。このことから、CuのUPDを行うと、吸着したCu原子がO_2分子のBridgeタイプの吸着を妨げ、end-onタイプに変化するため2電子還元で反応が進み、H_2O_2を生成すると考えられる。これは、白金(lll)電極を銅原子で精密修飾された結果、新しい部分還元の反応経路が生み出されたことを示している。 現在、「one-point touch」電気化学オンライン型質量分析(DEMS)装置の開発に成功している。ベンゼン及びエチレンの水素化反応を行ったところ、反応種も含む脱離種の検出に成功している。反応機構の解析が進行中である。
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