研究概要 |
アリニンの電解重合過程でレーザー光を作用電極に照射すると、金属電極上の光照射部位にのみポリマーが析出するという最近見い出した現象について基礎的検討を行うと共に金属電極における空間選択的合成の試みを行った。 アリニンは中性条件下では絶縁性膜が電解重合法により生成するが,平滑な金電極を用い,pH7で-0.2〜+0.8Vvs.SCEで繰り返し掃引すると、電気化学的に不活性の応答を示すようになる。SERS測定用の粗面電極の場合も同様であった。一方、Ar+レーザー(514.5nm,20mW)を照射しながらCVを行うと光照射に伴って膜の成長が生じていることが示され,光照射下で特異的に電気化学的に活性な膜が生じることが分かった。 また,FT-SERSスペクトルの電位依存性を検討した結果、アニリンの酸化電位よりもかなり低い電位から、レーザー光照射下で表面吸着アニリンの重合が生じていること、且つ電位が高いほどポリマーの生成量が多いことが分かった。電極表面でのポリマーの生成量とレーザー光の出力との関係を調べたとことろ、両者の間にはほぼ直線関係が認められた。これらのことから、電極表面の単分子層レベルではモノマーの酸化電位以前に重合が行われていること、またその反応が光照射に依存していることが示された。 Ar^+レーザーを光源とした二光束干渉により金電極上にレーザー光の干渉パターンを作成し、アニリンの光電解重合を行った結果,レーザー光の干渉縞の間隔と対応した2.5μm間隔ポリアニリンのワイヤーを生成でき、電極反応の空間選択的制御がμmオーダーで可能であることが分かった。
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