研究課題/領域番号 |
06226218
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
松永 是 東京農工大学, 工学部, 教授 (10134834)
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研究分担者 |
中村 徳幸 東京農工大学, 工学部, 講師 (20198229)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
1994年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
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キーワード | 細胞制御 / 電極反応 / グラファイト電極 / 電位印加 / フェロセン / 殺菌 |
研究概要 |
本研究では,細胞をより低電位で効果的に殺菌することを目的として、フェロセン誘導体を用いた細胞制御用電子移動場の設計について検討した。まず、フェロセンを電極に吸着固定し、微生物の電極反応について検討した。その結果、Vibrio alginolyticus懸濁液(1.4×10^<11>cells/ml)中で電位走査を行ったとき、0.3V vs.SCEのフェロセンによる電流応答は限界電流を示した。また、同様の実験をフェロセン未修飾のグラファイト電極を用いて行ったところ、0.8V vs. SCE付近のみに酸化ピークが確認された。このことから、フェロセン修飾電極を用いることにより、0.3V vs. SCE付近の低電位において微生物を電極反応可能であることが確認された。次に、フェロセン修飾電極を微生物の殺菌に利用することとした。海洋細菌V.alginolyticusを吸着させた電極に定電位0.6V vs. SCEを印加し、微生物の殺菌について検討した。その結果、電位印加時間とともに生菌率に減少がみられ、10分間で66%、30分間では25%となった。これに対し、フェロセン未修飾のグラファイト電極では電位印加30分後においても 生菌率は95%以上であり、生菌率の変化はほとんどみられなかった。このことから、フェロセン修飾電極を用いることにより、低電位において微生物を殺菌できることがわかった。また菌体懸濁液中にフェロセン固定化電極およびグラファイト電極を浸漬させ、付着した生菌数を測定したところ、菌体数に変化がみられなかったことから、フェロセンには細胞毒性がないことが示された。以上のことから、フェロセン修飾電極を用いることにより、電極に吸着した菌体を電気化学的に、低電位において効果的に殺菌できることが示された。今後、フェロセンの修飾法をさらに検討することにより、低電位における微生物フィルムの形成防止や生物汚損防止への応用の可能性が示唆された。
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