研究課題/領域番号 |
06226240
|
研究種目 |
重点領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小松 紘一 京都大学, 化学研究所, 助教授 (70026243)
|
研究期間 (年度) |
1994
|
研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
|
配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1994年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
|
キーワード | ビシクロオクテン / シクロオクタテトラエン / 電子移動 / 酸化還元 / CV / ESR / X線結晶解析 / アヌレン |
研究概要 |
(1)ビシクロ[2.2.2]オクテン(以下BCOと略記)の縮環したCOTジカチオン: 4個のBCOユニットの縮環したCOT(シクロオクタテトラエン)のカチオンラジカルを塩化メチレン中五フッ化アンチモンで一電子酸化することにより、初めて溶液中室温でも安定なCOTジカチオンの発生に成功した。温度可変NMRにより、そのCOT環の構造は平面ではなくタブ型で速い環反転を起こしていることが明らかになった。 (2)アセチレンまたはベンゼン環の両端にカチオン中心もつ安定2価炭素陽イオン: BCO縮環したトロピリウムイオンをもつ上記の新しいカルボジカチオンを合成し、その還元挙動について検討した。アセチレン系のジカチオンからは安定なカチオンラジカルが、またメタフェニレン系のジカチオンからは2電子還元により三重項ビラジカルが発生することをCVおよびESRにより明らかにした。 (3)BCO5量体多環式炭化水素におけるσ-π相互作用: BCO5量体の末端2臭化物の2電子還元反応により、向かい合う位置にシクロペンタジエンをもつ全く新しい多環式炭化水素を合成し、その中央の単結合が1.627Aと大きく伸長していることを、X線結晶解析により見いだした。これは顕著なσ-π相互作用に起因することを理論計算の結果に基づいて明らかにした。 (4)BCOの縮環した18π電子系共役大環状炭化水素: 2,3-ジエチニルビシクロ[2.2.2]オクテンの酸化的カップリング反応を利用して、BCOの縮環したヘキサデヒドロ[18]アヌレンの合成を行ない、その構造についてX線解析により、また酸化還元挙動についてCV法を用いて検討した。これにより、原系がヒュッケル芳香族性に基づく大きな安定化を受けていることが明らかとなった。
|