研究概要 |
1.電子移動条件下におけるシクロプロパノンアセタール誘導体の反応挙動。 ケイ素官能基を有するシクロプロパノンアセタール誘導体の1電子供与体としての反応挙動を検討する目的で、電子受容体としてよく知られたTCNE,DDQ,及びクロラニルとの熱反応を行った。その結果、シクロプロパノンアセタール誘導体は適切な電子受容体に対し、高い1電子供与性を示すことを明らかにした。さらに、その電子移動を経由する酸化的条件下でシクロプロパノンアセタール誘導体は、β-カルボニルラジカル種を効率よく良く発生する前駆体として機能することを見い出した。 2.シクロプロパノンアセタール誘導体とアリールメチルメシラート誘導体との光誘起電子移動反応。β-カルボニルラジカルの発生とその合成的利用。 上記したシクロプロパノンアセタール誘導体の1電子供与体としての反応特性を利用した合成反応の開発を目的とし、アニオンとしての脱離基メシラート基を有するアリールメチルメシラート誘導体を電子受容体に用いた光誘起電子移動反応を行った。その結果、光誘起電子移動反応は効率的に進行し、シクロプロパノンアセタール由来のβ-カルボニルラジカルとアリールメチルメシラート由来のアリールメチルラジカルを発生した。この反応により、イオン反応では一般に困難であるエステルカルボニル基の立体的に込み合ったβ位炭素上へのアリールメチル化反応を行うことができた。
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