研究課題/領域番号 |
06226272
|
研究種目 |
重点領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
上原 赫 大阪府立大学, 工学部, 助教授 (60081329)
|
研究分担者 |
井上 博夫 大阪府立大学, 工学部, 教授 (10081316)
杉本 晃 大阪府立大学, 工学部, 講師 (00081323)
|
研究期間 (年度) |
1994
|
研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
|
配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1994年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
|
キーワード | 有機二層型ダイオード / ベクトル電子移動 / ジヒドロフェナジン誘導体 / アントラセン環 / ねじれ角 / サイクリックボルタモグラム / 整流効果 / 光電変換 |
研究概要 |
光合成反応の初期過程における電子移動反応場である「反応中心」は近年のX線構造解析によってその高い光電変換効率とベクトル電子移動がタンパク質中の色素分子が互いに垂直に近い配向をとっていることと密接に関連していることが示唆されている。そこで、本研究では光合成系の効率的なベクトル電子移動反応場の設計の第一歩として、電気化学的に脱ドープしたポリ(3-メチルチオフェン)(PMeT)の上にジヒドロフェナジン環と垂直に近いねじれ角でメチレン鎖によって結合した芳香環をもつジヒドロフェナジン誘導体(Dye)を積層したAu/PMeT/Dye/Alの有機二層型ダイオードにおいてベクトル電子移動効果と光電変換を検討した。芳香環としてベンゼン環とアントラセン環を用いて分子内ねじれ角度の異なる、メチレン鎖の数が1の化合物(BP1,AP1)と自由回転できるメチレン鎖数3の化合物(BP3,AP3)ならびにメチレン鎖で連結しないジヒドロフェナジンとアントラセンの混合蒸着膜(APMix)について比較検討を行った。化合物AP1においてのみ他の化合物とは異なるサイクリックボルタモグラムを与え、中間体のカチオンラジカルの安定化が示唆された。また、X線結晶構造解析の結果から、BP1ではベンゼン環とジヒドロフェナジン環とがほぼ垂直に配置したのに対し、立体障害の大きなアントラセン環をもつAP1では垂直に近いねじれ角をもつことが確認された。これらの誘導体を用いた有機二層型ダイオードの整流特性および光電変換特性の測定の結果、AP1を用いた積層膜において最も高い整流比および光電変換効率が得られた。なお、メチレン鎖数3のAP3では整流比、光電変換効率が著しく小さく、混合蒸着膜APMixは最も小さな整流比を与えることを認め、アントラセン環とジヒドロフェナジン環が互いに垂直に近いねじれ角をとっていることがベクトル電子移動の効率をあげる上で重要であることを明らかにした。
|