研究概要 |
電極酸化及び還元反応によるホスフィン付加エチレンジカルゴゲノラトコバルト(III)およびロジウム(III)錯体(Fig.1 1および2)からのホスフィン解離反応機構について研究し,次のことを明らかにした. I 電極還元反応:ホスフィン付加体1,2は中心金属がコバルト,ロジウムの違いによらず、電極で1電子還元されるが,生成した還元体は直ちにホスフィンを解離して,遊離錯体の1電子還元体を生成するが,これを酸化すると直ちにもとの付加体を再生する. II 電極酸化反応:コバルト錯体;ホスフィン付加体1,2は1電子づつ3段に酸化される.1電子酸化体は比較的安定で,ホフフィンのモノカチオンラジカルを解離して,遊離錯体を生成する.2電子酸化体は直ちにホスフィンのジカチオンラジカルを解離して、遊離錯体を生成する.ロジウム錯体;コバルト錯体と同様に酸化されるが,1電子酸化体は安定である。2電子酸化体は,ホフフィンのジカチオンラジカルを解離して,遊離錯体を生成する. III 置換基による酸化・還元電位の制御:ホフフィン付加体1の酸化・還元電位はジチオレン環上の置換基Xの電子吸引性の強さに支配される.すなわち,付加体の可逆酸化および還元半波電位はホスフィンが付加していない遊離錯体の可逆還元半波電位および付加体生成定数と直線関係にあることがわかった.従って,付加体の酸化・還元電位および生成定数の遊離錯体の還元電位から知ることが出来る。
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