研究課題/領域番号 |
06227235
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
津田 鉄雄 京都大学, 工学部, 助教授 (10025992)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1994年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | ゼロ価ニッケル触媒 / 環化付加 / アルキン / N-置換マレイミド / ビシクロ[2.2.2]-7-オクテン |
研究概要 |
我々は最近、遷移金属錯体触媒を用いるジインの環化付加共重合という新しい高分子合成反応を開発した。この方法を用いる炭素環を有するポリマーの合成は興味がある。このポリマー合成にはアルキン2分子とアルケン1分子の効率の高い選択的な環化付加反応が素反応として必要である。Ni(CO)_2(PPh_3)_2触媒を用いるフェニルアセチレンとN-メチルマレイミドの環化付加が報告されているが収率および選択性が充分でなく、このままでは高分子合成に使用できない。本研究では環化付加生成物の溶解性を考慮し長鎖アルキル基を有するN-n-オクチルマレイミドを用いてアルキンとの選択的環化付加反応を検討した。 N-n-オクチルマレイミドとフェニルアセチレンの反応ではモル比が重要でN-n-オクチルマレイミドをフェニルアセチレンに対して2倍過剰用いることによりTHF中、90℃で2:2環化付加体であるビシクロ[2.2.2]-7-オクテンが選択的かつ定量的に得られた。等モル反応ではその収率は50%程度であった。 Ni(CO)_2(PPh_3)_2触媒と同様にNi(COD)_2-2PPh_3触媒も有効であった。Ni(COD)_2に種々の配位子を加えて配位子効果を検討したところPPh_3配位子が優れた配位子となることが分かった。脂肪族アルキンである1-ペンチンも同様に反応し2種の位置異性体を定量的に生成した。内部アルキンである3-ヘキシンからも反応温度を110度と高くして行うことによりN-フェニルマレイミドとの2:2付加体を定量的に得ることができた。このようにN-置換マレイミドとアルキンのモル比や反応温度を選ぶことによりゼロ価ニッケル錯体触媒を用いる種々のN-置換マレイミドと種々のアルキンの環化付加により2:2環化付加体であるビシクロー[2.2.2]-7-オクテンが選択的かつ定量的に得られることが分かった。今後この反応をジイン/アルケン共重合に利用することは興味がある。
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