研究概要 |
フェニル基のパラ位に(-)ーメンチルエステル基を有するテルロニウムイリド・ジアステレオマ-混合物,{4′-[(-)ーメンチルオキシカルボニル]フェニル}(メチル)テルロニウム-4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキシリド(dia.-1a,b)および{4′-(-)ーメンチルオキシカルボニル]フェニル}(2″,4″,6″-トリイソプロピルフェニル)テルロニウム-4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキシリド(dia.-2a,b)を合成した。これらのイリドは結晶状態でも溶液中でも室温下で安定である。ジアステレオマ-混合物dia-1a,bおよびdia-2a,bをヘキサン-ジクロロメタン溶媒から分別再結晶を繰り返すことにより光学分割を行った。dia-1a,bおよびdia-2a,bから(+)_<Te>-1aおよび(+)_<Te>-2aがそれぞれ30%deおよび25%deで光学活性体得られた。得られた光学活性テルロニウムイリド(+)_<Te>-1aおよび(-)_<Te>-1bの光学純度はシフト試薬,(S)-(-)-1,1-ビナフトールの存在下でテルルに結合したメチル基の,また,(+)_<Te>-2aおよび(-)_<Te>-2bのそれはジメドンのメチル基およびメンチルフェニル基の芳香核水素の^1HNMRから算出した。(+)_<Te>-1aの絶対配置は,X線結晶解析により既に絶対配置が決定されているセレノニウムイリド(R)-(+)_<Se>-3aのCDスペクトルとの比較により,R-体と決定した。得られた光学活性テルロニウムイリドの傘型反転によるエピメリ化の速度を測定した。(+)_<Te>-1aは傘型反転よりも熱分解が速く起こり,反転速度を測定することができなかったが,(+)_<Te>-2aの傘型反転によるエピメリ化速度は90-110℃で測定できた。その結果,テルロニウムイリドはスルホニウムイリドと比較して傘型反転が遙に起こり難いことが明らかになった。
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