研究概要 |
本研究の目標は、レーザー蒸発法と高分解能レーザー分光法と組み合わせ、フリーラジカルの高効率生成法の確立し、フリーラジカルの高感度検出を可能とすること、さらに、スペクトルの解析に基づいて、電子基底状態および電子励起状態でのフリーラジカルの構造を決定するとともに特徴ある励起状態ダイナミクスを解明することである。研究を進めた結果、以下の成果を得ることができたのでここに報告する。 (1)前年度によって初めて観測されたC_3のA-X振電バンドについて、高分解能の分光計測を行うことによって回転構造の解析を行った、さらに、広範囲にわたる高分解能測定によって、これまで見い出されていなかった。Σ-Σ型の振電遷移を8個を389-337nmの領域に見い出すことに成功した。このΣ-Σ型の遷移は、振電許容となって初めて検出されるものであること、そして、この型の遷移が励起状態の振電準位のうち、反対称伸縮振動と変角振動の量子数がともに奇数である準位への遷移ときにのみ起こることが示された。その結果、A状態の準位のエネルギーを546cm^<-1>と推定した。また、A状態におけるC_3特有の大振幅振動のダイナミクスの解明のためにレナーテラー効果を取り入れた数値解析を進めている。 (2)C_n型(n≧1)以外の多種のフリーラジカルの生成のために、ロッドの選定、蒸発用レーザーの強度、キャリヤ-ガスの選定、ノズルの貯気槽圧などの諸条件を最適化した。その結果、Si原子を含むフリーラジカルとして、SiH A-X(0,0)バンド、および、SiN B-X(0,0)バンドのレーザー誘起蛍光スペクトルの観測に成功した。
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